●ノートPCのCPU交換 演算能力をアップしてみました。

パソコンは、購入した時はかなりのハイスペックだったとしても技術の進歩は凄まじく、あっという間に能力不足になってしまいます。
これはある意味仕方の無いことですが・・・・今使っているPCが、もちょっと性能アップ出来たら良いのに。そう考えるのはごく自然な流れでしょう。

ここで、問題が一つ。「PCの性能アップはどうやってやろうか?」

外付け型の拡張機器があれば、それを付けるのがもっともリスクも少なくて良い方法です。HDDドライブ増設などが該当します。
でも今回のお題は、CPU交換です。

理由は・・・・ただなんとなくネットをウロウロやってたら、買ったばかりのメビちゃんはCPU換装が可能な、数少ないノートPCだと言う事が判明したからです。
ヤれるってんなら、ヤッてみたい。ただ、それだけ。

本来ならば、CPU自体を少しばかり高性能なモノに取り替えた所でほとんど恩恵にあずかることは出来ないでしょう。
あくまで「以前と比べれば・・・・」というレベルで落ち着くのが関の山。
少なくとも絶好調バリバリという体感は、クロック比で2倍位上がらないと・・・ってのが正直な所です。
それよりもメモリーを増設するとかが先決なんです。もっとも私のメビちゃんは買ってきた時の時点で最大限増設しましたが・・・・
(高い買い物なので、どーせなら一気に行こうと。後で買うのは却って面倒なのです。PCは新しい内にキッチリ資本投下しておくのがイイですよ)

でも、ヤるんです。なんてったってアスロンですから。(単なるブランド志向じゃないのかな?)


「メビちゃん」こと、シャープ・メビウスCB1-C9に搭載されているCPUは、MorganコアのモバイルDuron 1GHz。
もちろんこのままでも処理速度は充分なんですが、元々重いWindowsXPの動作をサクサクと快適に行うのにはAthlon換装化がオススメです。
さらに超低電圧版のを使えば消費電力節約にもなりますし、発熱も抑えられます。ただ、ちょっと高価なのが難点・・・・・。

ちなみに、後継機種のCB1-CBはモバイルAthlon4/1.1GHzが標準搭載されています。購入後約10日後にモデルチェンジ。ヤラれた・・・・・。(悔しかった、が本音)

★まずは、事前準備です。

必要な情報はもちろんネットなどで集めましょう。
ノートPCの分解方法、使えるCPUとその入手方法は必ず必要となります。
特にモバイル用CPUは一般的に市場に出回っていることは少ないので確実に入手できてからでないと先には進めません。

当然ですが・・・・これらの情報は、パーツショップの店員さんに聞いてもダメです。責任取れませんから多分教えてくれません。
つーか、私、知ったかぶりした店員に間違ったCPUを売りつけられちゃったんですけどね。ちゃんと調べて返してきました。

結局、私が選んだのはモバイルAthlonXP 1600+ (25W) [AXMS1600FWS3B]です。ネット通販で入手しました。
(モバイル版CPUは、バルク品しか無かったんです・・・・シール欲しかったのに・・・・・・)



ココで、決まり文句ですが・・・(ホントはこんなコト書かなくても常識だと思うんだが、世の中にはイロイロな方が見えますので一応)
改造は全て自己責任です。誰もフォローしてくれませんし壊れたら取り返しは付きません。
原則的にメーカーも修理を受け付けてくれないです。
ノートPCと言う高価な機器なので、思いっきり心して掛かって下さい。
ぶいぶいEg共和国はうまくイクようにただ祈るだけでフォローしませんし責任も取りません。


★ CPU仕様の比べっこです ★
--- モバイルDulon 1GHz モバイルAthlonXP 1600+
 opn DHM1000AVS1B AXMS1600FWS3B
ファミリー/モデル/ステッピングNo 6/7/1 6/8/0
実クロック 1GHz
(システムクロック100MHz x 10)
FSB=200MHz(DDR)
1.4GHz
(システムクロック100MHz x 14)
FSB=200MHz(DDR)
コアの種類 Morgan Thoroughbred
プロセスルール 0.18μm 0.13μm
(銅配線プロセス
)
パッケージ CPGA OPGA (FSB 自動切換)
コア電圧 (V-core) [ V ] 1.4V 1.3V
最大温度 (Max Die Temp.) [ ℃ ] 95℃ 95℃
L2キャッシュ  [ KB ] 64KB 256KB
消費電力 [ W ] 35W 25W

使用できるCPUは、「FSB200MHzで作動するもの」「消費電力が35W以下のもの」のようです。
CPUのコア表面または基板上に書いてある品番(OPN)をしっかり確認して購入して下さい。
モバイルAthlonXP 1600+ (25W) [AXMS1600FWS3B] / 同 1400+ [AXMS1400FWS3B]
モバイルAthlonXP 1600+ (35W) [AXMD1600FQQ3B] / 同 1400+ [AXMD1400FQQ3B]

CPUの調達は・・・・・・ 「User’s Side」 「高速電脳」さん辺りで取り扱っていました。が、珍しい石なのでなかなか売っていません。
価格は2万円弱位です(2002/12月現在)。ただしかなり品薄の模様です。
※その後、7千円ほどに相場は下がりましたが今ではヤフオクなどの方が入手しやすいようです。

未確認情報ですが、
モバイルAthlon4でも動作可能。(って言うか後継モデルはコレ使ってるし・・・・・・)ただし入手が難しいかも知れません。

モバイルAthlonXP 1800+(35W) [AXMD1800FVQ3C]も動作報告がありますが、FSB266MHz定格のためFSB200MHzで使用すると実クロックは1150MHzと
1400+(実クロック1200MHz)より少し遅い動作速度となります。

電源か放熱の問題か不明ですが、25W版1400+の方が安定するという話もありますし、メビちゃんの機種によってHDDやLANへのアクセス速度が低下したという情報もあります。
事前によく調べてから適切なCPUを選びましょう。

AMD製CPUのOPNに付いて
複雑怪奇なラインナップってのは、どこのメーカーでも一緒です。AMDに関してはPalominoコア以降位から一応の標準化がされてます。(一応ね)
A*imaの独自調査の結果を表にしました。ただし・・・・合ってるかどうかはちょっと自信ないです〜〜〜@
AX 1600 S B
アーキテクチャと
ジェネレーション
Mがモバイル用
と思われる・・・・
消費電力

S=25w
D=35w
H=45w
N=60w
モデルナンバー
実クロックだったり、
動作相当だったりイロイロ。

FSB200MHz(DDR)の場合
1400+ = 1200MHz(12.0x)
1600+ = 1400MHz(14.0x)
パッケージ・タイプ

A = CPGA
セラミックベース

D = OPGA 緑or茶色ベース
F =OPGA
(FSB Autodetect)
最大コア電圧

N = 1.80
M = 1.75
P = 1.70
K = 1.65
U = 1.60
H = 1.55
L = 1.50
Q = 1.45
V = 1.40
J = 1.35
W = 1.30
コア温度

Q =100
S = 95
T = 90
V = 85
L2キャッシュ
 (単位=KB)

1 = 64
3 = 256
5 = 512
FSB(最大値の場合もあり)

B = 200MHz (sys.100MHz)
C = 266MHz (sys.133MHz)
D = 333MHz (sys.166MHz)
※表記が無いモノもある FSB266MHzだと倍率が異なり、
200MHzで使用すると実クロックは
0.75倍での動作となる。(動けば・・ですが)

標準搭載のモバイルDuronの場合・・・・「DHM1000AVS1B」ですから

DH=デュロン、M=モバイル用、1000=モデル番号(実クロックで表記)、A=セラミックベース、V=コア電圧1.4V、S=95度まで、1=L2キャッシュ64KB、B=FSB200MHz(DDR)
・・・・・となりますです。


ちなみに誤入荷した自称(?)”低電圧版のモバイル”AthlonXPのOPNは、「AX1600DMT3C」なので、
AX1600D〜T3〜は良いとしても、M=1.75v(←これでアウト)、C=266MHzなので動いたとしても実クロックは1050MHzで後継モデルより遅いです。
実際は電源スイッチ投入後、5秒ほどで勝手に電源が落ちて起動不可能でした。(電源ユニットが壊れなくて良かった・・・・・)
※ ただしこの件に関しては販売店のミスのため、ちゃんと返品が出来ました。どう見てもコレはデスクトップ用なんです。
  もっとも、複雑怪奇なラインナップを作ったAMDが全て悪いのかも?

それと・・・いくら高クロック化戦争だからって言って、見栄を張るのはいただけませんな。
正直に実クロックで表記しなさい。そして・・・・クロックが全ての性能の指標ではないというコトを堂々とアピールすべしです。AMDさん。





★ヤリ方です〜〜〜@
※ くれぐれも、手先の器用さと石橋を叩いて渡る位の慎重さを兼ね備えている自信のない方にはオススメできません。壊してしまわないように!
  1. まず、電源アダプタとバッテリーを外して本体を逆さまにします。 底面にあるフタはそれぞれ「増設メモリスロット」「HDDユニット」「CPU&ヒートシンク」です。
    いづれも+ネジを外すとカンタンにアクセスが可能です。 (なぜ、こんな誘惑の多い構造になってるんでしょうか?)





  2. フタは変な両面テープが貼り付いているので外すのにちょっと固いです。勇気を持って外すべし!
    するとファン付きヒートシンクが出現しますから、黒い布テープを2箇所剥がします。(組み立て時には元通り貼り付けます)

    放熱器を固定している+ネジ4本を、コア欠けさせないように少しずつ均等に緩めていって外しますです。
    写真のように、対角線上の2本だけ先に外してしまってもOKです。

    放熱器は本体ケースの端側にもぐっていて外す時に引っ掛かりますので、少し持ち上げつつ横にずらすようにして取り外します。
    もし、ファンの線が邪魔ならば先に外してしまってもOKです。




  3. 放熱器が外れると、CPUが見えますです。
    まず、CPUソケットの横に付いているロックピースを小さいマイナスドライバーでこじって外します。

    放熱器側に付いている熱拡散シートは再利用しても良いですが、念のため放熱グリス塗布をした方が良いので剥がします。
    (絶縁シールは再利用しますので慎重に剥がして下さい。)
    熱拡散グリースはケチらずに、高級なものを使いましょう。CPUが熱でやられてしまうリスクを考えれば\2000位の投資は充分有効です。

    CPUのとなり(写真では右側)に見えているのはVIA/KT133Aチップセットです。





  4. いよいよ、CPUの取り外しです。ロックピースがちゃんと外してあることをまず再確認しましょう。
    マイナスドライバーで、写真の方向にCPUをずらします。(かなり固いけれど、根気良く少しずつ慎重にずらして下さい。)
    この時に、ソケットやCPU基盤を損傷しないよう充分注意しましょう。
    くれぐれも無理やり上にCPUを引き抜かないように!

    うまくスライドが出来ると、そのままポロッと上にCPUは外れます。




  5. ここまでくれば、完成まであと少しです。
    CPUを新しいものに交換して、外した時と逆にスライドさせて取り付けます。しっかり取り付けが出来ていないと起動しません。
    熱拡散グリスをごく薄く、ダイ(CPU上の四角い所)に綿棒などを使って、まんべんなく塗布します。

    外したCPUは、再インストールする時や修理時に使いますから亡くしたり手放したりしないでキチンとアルミ箔などにくるんで保管しておきましょう。

    (写真の新しいCPUはデスクトップ用の誤入荷品のモノで、今回換装したモバイルAthlonではありません。ただし取り付けに関しては同じです)

    追加情報:アスロンのコアは、デュロンのそれに比べて0.3〜0.4mmほど薄いようです。
    よってその分の厚みの銅版(ホームセンターなどにアリ)をスペーサーにしてコアと放熱器の間に挟むと安定動作に貢献するようです。



  6. 組み立てです。基本的には、分解と逆の手順で行います。ロックピースの取り付けをして、放熱器も元通りに取り付けます。
    (放熱器の固定ネジは、一本ずつしっかり締めるのではなく全体的に交互に行いましょう。コア欠け防止です)

    フタを取り付ける前に、必ず冷却ファンのコネクターがしっかり刺さっていることを確認して下さい。
    冷却ファンが回らないと、あっという間にCPUのコアが焼損してしまいます。(この手のトラブルは非常に多いです)


    くれぐれも外したコネクタの接続を忘れるとか、外したネジを付け忘れるとかの事故を起こさないように・・・・・。

    組み立てたら「ネジが余った」。良く聞くセリフですが、こんなのはしょーもない自己弁護。
    正しくは
    「ネジを付け忘れた」です。ドジな自分を恨むしかないです・・・・さっさとヤリ直ししましょう。




  7. 出来上がり。BIOSなどのアップグレードは必要ありません。成功するとそのまま当然のごとく認識して起動します。
    CPU換装前にベンチマークテスト(HD-Benchなどが良い)をしておいて、交換後とデータを比較するとかなり演算速度が向上しているのがわかります。

    「マイコンピュータ」を右クリックして、「システムのプロパティ」を見るとしっかりCPUが認識されているコトが確認できます。







    ●ベンチマーク   〜〜 ヤル前と後にはデータ取りしましょう 〜〜
    (改造前と、改造後の相違点を色分けしてあります。黒文字は共通項目です。)
★ ★ ★ HDBENCH Ver 3.40 beta 6 (C)EP82改/かず ★ ★ ★
M/B Name
Processor AMD Duron 1000.04MHz[AuthenticAMD family 6 model 7 step 1]
Cache L1_D:[64K] L1_I:[64K] L2:[64K]
Name String Mobile AMD Duron(tm) Processor
Processor AMD Athlon 1400.05MHz[AuthenticAMD family 6 model 8 step 0]
Cache L1_D:[64K] L1_I:[64K] L2:[256K]
Name String Mobile AMD Athlon(tm) XP 1600+ Processor



VideoCard S3 Graphics Twister K + S3Hotkey
Resolution 1024x768 (16Bit color)
Memory 622,064 KByte
OS 5.1 (Build: 2600)
Date 2002/11/12 18:31
VIA Bus Master IDE Controller
プライマリ IDE チャネル
FUJITSU MHR2030AT
VIA Bus Master IDE Controller
セカンダリ IDE チャネル
MATSHITA UJDA730 DVD/CDRW

 ALL  Integer Float MemoryR MemoryW MemoryRW DirectDraw
15354 42768 52002  14433  14897    23025   29
19331 59873 72835  15665  16685    23218   29

Rectangle Text Ellipse BitBlt  Read Write RRead RWrite Drive
  29549  5764 5550 100 18159 12200 5456  5786 C:\100MB
  29564  9512 6478 100 19360 18387 6762  6993 C:\100MB



Superπ104万桁(at 1024x768 16bit-color)
  02分09秒 >
01分44秒

総括として・・・・
実際のWindowsXP操作感覚はかなり軽快です。一番の恩恵はやはり、ファイルの圧縮/解凍の速さでしょうか。

ただし動画・3D描画に関しての性能向上はほとんどありません。
待機時の発熱はかなり低下して、冷却ファンが回った時の熱風も低減されました。
が・・・・
圧縮動画再生などでフリーズしてしまうコトがたびたびありました。やはり放熱の問題もあるようです・・・・・。
(これは、コアと放熱器の間の銅板スペーサーを入れたらかなり良化しました。)

最後の手段として、使い道に応じて都度、CPUを取り替えるという作戦をとってますv



AMD/PowerNow!に付いて
CPU負荷に応じて連続的にクロックを可変してくれるユーティリティーがAMDから供給されています。
システムデバイスのプロセッサードライバを「amdk7.sys」を使用してインストール(手順詳細は省きます)、電源のプロパティを「常にオン」「デスクトップ」以外にすると稼動します。
モバイルAthlonXP1600+の場合には実クロックが1400MHzですが、900〜1400MHz可変となって冷却ファンが作動するコトが少なくなります。

ただ、WindowsXPのSP1パッチとの組み合わせ・相性が悪くてシステム全体の動作が不安定になる場合もあるようです。
(私の場合コレのため、テスト後にアンインストールして使わないようにしています。)
WindowsUpgradeでインストールされるSP1にはこのPowerNow!が組み込まれているとの情報もありますが・・・・・SP1自体がイロイロと問題を抱えているようです。

私の場合、CB1-C9というモデル自体がPowerNowとの相性が良くないようで入れるとシステム全体が不安定になってしまいました。
一応可変クロックが動作することは確認できたのですが・・・・そもそも安定性を求めて入れたモノが、不安定を引き起こしてるってコトなので導入は断念しました。





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