●2014年04月18日(金)
現在抱えている修理車に、ヤマハ・ギア(ニュースギア)があります。 2サイクルの業務用スクーターです〜〜〜〜〜〜〜〜@ 正しい名称は、「BA50NH」。 モデル名は排ガス規制モデルなので「UA03J」と呼ばれてますです。 ちなみに形式名では、「4KN」ですよん。(2000年モデルなので、「4KNC」になります) ・・・・・すごく複雑ですねぇ。 実際には、4KNって呼び方を良く使います。部品注文とかするのに便利だから。 この呼び方ってのは結構重要になってくる状況があります。 車名の「ギア」なんだけど、「GEAR」とも書きますし、また読み誤りで「ギヤ」「ギアー」「ギヤー」になったりもします。 例えばネット検索とかをする場合には、これら考えられる全てで行わなければなりません。 オークションなんかだと、往々にして読み誤りの「ギヤ」なんかの方に掘り出しモノがあったりします。 とは言う物の、通常の呼び方は通じれば何でも良いんです。 私は意地悪く、ホンダのベンリィ50/110(含PRO)も形状が良く似ているので「ホンダ・ギア」なんて呼んだりしてますです。 とにかく、現在手掛けているのはヤマハの2サイクル・ギアなのです〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜@
エンジントラブルで、走行中に止まってしまうとのコト。 潤滑系関連に故障が見付かり、どうやらエンジンの腰上の抱き付き(焼き付き)のようですねぇ。 もっとも、普通ならば焼き付いていればエンジンは掛からないはずなんだけど、それが何故かすんなりかかりアイドリングも安定してたりするのです。 原因追求にはちょっと悩みましたが、なんとか結論を出すことが出来ました。 そして部品交換のメイン作業となる腰上なんですが、あけてみたら予想よりもはるかに厳しい状態です。 シリンダーまでキズが入ってしまってて交換をしなくてはなりません。 ちなみに部品のお値段はとっても高いのです。 ●シリンダー[2JA-11311-01] \12,852- 今回は中古のシリンダーを探して使う事にしました。 ドナーとなるのは、ギアではなく縦ジョグ等から探します。 これはなぜかと言うと、ギアのようなビジネスバイクは大抵過走行状態になってるのが普通なので、エンジン部品は消耗し切っている可能性が高いんです。 他人の不幸を喜ぶようで不謹慎ですが、エンジン部品を取るのなら事故車が一番良いですねぇ。 しかも走行距離が少ないうちにドカン!とやってくれちゃったヤツ。 ちなみに縦ジョグ系は他にチャンプ、初代BW's(3AA)、アクティブ、エクセルなんかがあります。 チャンプは最終形のチャンプCX(3FC)が最も洗練されてますねぇ。 とは言っても、ピストンに関しては縦ジョグも横ジョグもありません。基本的に共通で互換性があります。 もちろん時代と共にリングが薄くなったりとかの改良がされているのですが。 また、50ccジョグ系ならではの純正流用チューンもついでに施しておこうと思います。 それは軽量ピストンピン換装。 どのみちピストンピンも新しくするんですから、費用的な追加はほとんど発生しませんし。 流用するのは、ヤマハ・ミントの部品です。(まだ部品供給されてます) 外寸が同一なのに、内側が肉抜きされてて軽いのです。 勿論ですが強度的な問題はありません。
しかし、中古シリンダーを探してもモノがモノだけにあんまり出物がありませんねぇ。 その中で見つけたのが、チャンプ(2NA?)のシリンダー。 とかもピストン付きです〜〜〜〜〜@ このピストンは「2JA」の刻印が付いているので、[2JA-11631-00-96]と言う品番のモノだと思われます。 驚くことに、現在まだ部品供給しています。 流石に旧いので値上がりして\4,741-もしますけどねぇ。(普通は\3,000-弱) ピストントップが排気ポート方向にナナメに凹んでいるのが特徴です。 ちょっと圧縮比の点で不利かな? 使えないことはないのですが、このギアは配達バイクなので荷物をギッシリ詰め込んでの登板走行が想定されます。 なので、圧縮比はなるべく稼ぎたい所ですねぇ。 ちなみにギア純正のピストンは[3YJ-11631-11-A0]と言う品番の、最も新しいタイプです。 ピストンリングが薄型で、確か0.8mm厚だったかな。 フリクションロスが小さいんで、レスポンスや燃費の点で有利でしょう。 しかし、壊れた腰上部品のピストンには「3CP」の刻印が入っておりました。 (ピストン裏側にYAMAHAと形式名の刻印があるのです。2JAとか3YJとか) ピストンリングの厚みも実測で1.2mmありますねぇ。 もしかしたら使用されていたピストンは[3CP-11631-00-96]の方かも知れません。 これは往年の名機3KJジョグにも使われていたピストンなので、もしかしたら何処かで修理交換したのかも。 でも不可解なのは、2JA刻印のピストンに付いているリングが1.5mm厚なコトです。 部品リストを調べてみても、[2JA-11631-00-96]に対応するリングは[260-11601-02]で3CPピストンと同一のはず。 なので、もしかしたら刻印は2JAなんだけどもっと別の品番のピストンなのかも知れませんねぇ。 私の考えとして、3CPピストンで修理したいなと思います。 やはり業務用途で慢性的に過負荷状態での走行となりますので、耐久性の点で名機3KJジョグと同じちょっと厚いリングを採用したいと思います。 フリクションロスが増える分は、軽量ピストンピンで埋め合わせようかと。
とにかく、ベースエンジン的には相当古いです。 縦ジョグなので、出力的にも6.3psが仕様上限でしたねぇ。 何故ヤマハはギアに、横型の3KJエンジンを採用しなかったんでしょうか。 こっちならクランクケースリードバルブで一次圧縮も有利だし、そもそもクランクウェブも外径で3mmほど大きく粘り強い特性になったはず。 しかもノーマル純正仕様で7.2psのもあった位ですから、相当なモノなんです。 そもそも、初代ギアは1994年デビューでした。 その当時は縦ジョグ系のチャンプCXが1990年のマイナーチェンジを最後に消えていたのです。 そして、同じく1990年に横ジョグ3KJがデビューしてましたので、4年後は完全に横ジョグ全盛期でした。 想像なんだけど、多分太いタイヤを履かせるのにクランクケースの金型を初代BW'sから使い回したかったんじゃないでしょうか。 横ジョグにはその当時、太いタイヤ仕様のモデルはありませんでしたからねぇ。 どうしても荷物を沢山積んで走る業務用となると駆動系(ホイールハブ関連)の耐久性も重要ですし、エンジンマウントだってどの程度持つのか判らない。 だから、実績のあるモデルのクランクケースをベースにしたかったと。 そのお陰で2007年モデルのギアまで、縦ジョグ系エンジンが根強く残る結果となったと思われます。
ちなみに、ぶいぶいコラム4月最初の「ボリュームupシート」補修をしたギアです。 あっちもこっちも修理をして欲しいとの要望ですが、如何せん激しく使い込んでるんで随分金が掛かりそうですねぇ。 しかも、この他にとある「余計なコト」もする予定があるのです〜〜〜〜〜〜@ 作業も大変だが、請求書の計算はもっと苦労しそうですねぇ。
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