●2012年10月26日(金)
先日のコラムの続き・・・・ではありません。 ちょっと別の件のバイクネタです〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜@ 我が愛車、TT250R-"18モタード仕様は最初期型のTT-Rをベースにしてます。 1993年発売のモデルですので、現在19歳でございます。 ちなみにTT250Rは2000年の排気ガス規制に対応が出来ないので、1999年をもって国内モデルの生産を中止してます。 つまり約6年間しか存在しないバイクなのですが、輸出仕様はその後しばらく継続して販売されていました。 オフロードバイクってジャンルは、昔から全体的なイメージがあんまり変化がありませんので進化の程度や移り変わりが判り難いですね。 まぁ21世紀になってからのモデルだと、スタイル的に尻尾がピン!と跳ね上がってるのが流行なようです。 20世紀のオフ車の場合は大抵が垂れ尻になってんですねぇ。 私のTT250Rも垂れ尻ですv
バイクとして随分古くなってしまいましたけれど、この時代のマシンはどれも元気が良く、またメカニズムも熟成が進んでおります。 これよりも少し前の80年代では、まだまだ進化の途中で、ハイパワー競争があったり、エポックメイキングな珍車が出たり混沌としてました。 現在、中古で買うとしてもちょっと90年代前半モデルは年数が経過しているので、コンディションには十分注意する必要があります。 やはり、古くなってくると劣化してくる部分がありますからねぇ。 そしてご多分に漏れず、私のバイクも磨耗消耗によるトラブルを抱えているのです。 その内容は・・・・セルスタータ。 バッテリーはまだまだ元気が良いのですが、乗り始めの一発目にセルが回らない時がありました。 ただし一旦セルが回ってしまえば、その日はずーっと快調なのです。 また、一発目が不発でも、続けて二回目・三回目でキュキュキュ〜っと回りだすんです。 なので、騙し騙しその状態で使い続けていましたv
しかし、ちょっと前に別件でホンダXR250R(MD30)のセルモーター修理をしました。 さらにほぼ同じ時期に、スズキ・アドレスV125のセルモーター不良も対応してます。 2つもセルモーターのトラブルが続いたので、やっぱり自分のもヤラなきゃと思ったんです。 そして、事態は少し悪化してしまいました。 出先にて帰ろうかとセルボタンを押しても、「カチ!カチ!」とリレーの作動音はするものの不発。 そしていつもとは違い、何回も再トライしてもセルは回ってくれないのです。 「やべっ!?これは後でサルベーシするしかないのか??」と正直焦りました。 ちなみにTT250Rにはキックスタータはオプション扱いで、標準装備されておりません。 私のも勿論キックは付けてないのです。 でも、ちょっと間をおいたら「キュルキュルキュル〜」っと突然セルが回ってエンジンが掛かったのです。 「あー良かった、助かったv」 そう思うと共に、やっぱりちゃんと修理しなきゃダメだなと考え直ししたのです。
私の想像するに、やはりセルモーターの消耗部分がダメになってしまったのではないかと。 セルモーターの内部には「ブラシ」「コミュテータ」という接触部分がありますから、使えば使うほど減るのです。 バイク事態が古いし、走行距離は不明だけど結構走ってるはずですから、要オーバーホールなのは確実ですな。 TT250Rのセルモーターの消耗部品は、「ブラシAss'y」しか供給されていませんので、それを交換します。 ケース密閉用のOリングもあるんだけど、まぁそれはイイかなと。 (ちなみに以前修理した時の部品取りがありますので、Oリングも使い古しだけど良品があるんです) しかし、部品が高いですねぇ。 [4GY-81800-00] スターテイングモータアセンブリ (\28,980) [3KS-81840-00] ブラシホルダアセンブリ (\3,812) セルモーター丸ごとだと3万です。 もちろん交換作業の工賃が本来なら発生するので、実際には3.5万円位になるんです。 こりゃ大変ですねぇ。 ブラシに関しては取り付けのプレートからスプリングなども全部セットになってるのです。 実は、ここは他車種流用すると半額位でできるようなのですが、今回はマジメに純正部品で修理します。 バイクメーカーによって、製造会社が同じ部品でも随分お値段が変わりますからねぇ。 ちなみにヤマハの部品は全般的に高いコトが多いようです。
セルモーターの脱着は、バイクによって随分作業難易度が変わります。 TT250Rのセルモーターはシリンダ背面に付いていますので、入り組んでて困難な部類ですねぇ。 実は、このセルスターター機構はホンダXRもヤマハTTRも、カワサキKLXですら殆ど同一です。 しかし先回ホンダXR250(MD30)では、このスターターギアの部分に「マヨネーズ化現象」が発生してました。 具体的には、オイルと水分が乳化して混じり合い、とっても悲惨な状態となるのです。 これはMD30モデルのみに見られる現象だそうな。 ★参考★エスファクトリーのブログ 別のショップではセルモーターの勘合部からの水分混入を疑っているようですが、それならば旧XLR系やほぼ同一の構造を持った他車種にはあんまり見られない現象ってのの説明が付かないですねぇ。 なので私が思うに、排気ガス規制対応したためにブローバイガスの処理にマズい部分が出てしまったのではないかと思ってます。 完全燃焼を追及した結果、水分の発生が多くなったと。 そして、その水分がクランクケース内のオイルに混入し、熱せられ蒸発して丁度形状的に「オイルキャッチタンク」みたいな、このスターターアイドルギヤ室で結露。 そしてどんどん溜まってって、こんな状態に陥ったと。 旧型や他車種の場合、そこまで燃焼が良くならないか、もしくはブローバイガスが他の部分からどんどん抜けてって悪さをしにくいと考えられます。 でも心配なので、一応開けてチェックして見ますねぇ。 もしもMD30のように悲惨なマヨネーズになってたら困りますし、成り掛けならお掃除しとかなきゃなりません。 この部分のフタはネジ3本で止まってて、周りにOリングが嵌まって密閉してるので、気軽に点検が可能です。 結果は・・・何にも問題ありましぇん。 まぁこの部分は3〜4年前に一度手を入れてますけどね。 やっぱり、MD30系特有の現象みたいです。 もっともこれからも、この部分の点検は機会がある度にやろうと思っとりますけど。 だってセルモーター丸ごとパーになっちゃうと、数万円飛んで行きますから困りますよね。 ちなみに、ここのフタ部分は最後セルモーターを取り付ける時に、ギヤの噛み合いや収まり具合を確認したいのでそのままにしておきます。
で、セルモーターをごそっと取り外すワケですが、その為に邪魔になるパーツをどんどん外して行かなきゃなりません。 TT250Rの場合、エキゾーストパイプはもちろん、リヤサスのリザーバータンク、オイルデリバリーパイプ、それとカムチェーンテンショナーも外すんです。 ちなみにセルモーターへの配線はモーターのボディ端子ではなく、スターターリレー出口側端子から外した方がスムースに行きますよん。 場所は写真上段右に写ってますけど、リヤサスタンクステーのすぐ脇です。 (バッテリーを取り外して行わないとすぐ隣の端子に常時+のノーヒューズラインがあるので危険です〜〜〜〜@) ここでいつも思うんですが、TT250Rのエキパイ脱着作業ってのはとても困難ですねぇ。 もうちょっと、あと5mmパイプの曲がりとか、フランジボルトが短いとか、ケースとのクリアランスが広ければ数段楽になるのに。 いつでもエキパイが外せなく(組み立て時は取り付けられず)格闘するコトになります。 グリグリとエキパイの向きをアチコチ変えていると何故か突然スッと脱着が出来ちゃうんですねぇ。 しかしそれを再現しようと思うと、何故か上手く行かないんです・・・・。 まぁ何度もやる作業ではないと思いますから、コツとかを覚えて無くてもイイかな。 セルモーターが外せたら分解して、内部クリーニングをいたします。 ちなみに回転子の前後端にスラストワッシャが入っているのですが、これが数枚重なってんです。 でも張り付いてて一枚のワッシャだと勘違いすると、突然バラけてワケが判んなくなりますから要注意。 磁力が強い部分があるので、上側(ピニオンギヤ側)から順序良くバラして行きましょう。
磨耗状態を見ると、不思議ですねぇ。そんなに消耗していません。 多少コミュテーター部分も焼けはありますが、減ってはいないんです。 プラシはそこそこ磨耗しているのでちょっと押し付ける力が弱まってはいるはずだけど、こんな程度でトラブルになるのだろうか。 ちなみに、セルモーターの状態は写真下段の左と真ん中です。 ここで感じたコトは、後になってやはり正解でした〜〜〜〜〜〜〜@ まぁ折角バラしたんだし、オーバーホールはやって損するコトはありませんから良い機会だと思って丁寧にやっつけます。 ここは、自分のバイクでもお客様のバイクでも全く変わりません。 以前は仕上げに差を感じたりはしてましたけど、いつの間にか同等に作業できるようになったみたいです。 んで、セルモーターを組み立てて取り付けをいたします。 先ほどのXR専門シヨップのサイトでの解説でセルモーターの納まり具合の件がありましたが、私の場合はOリングにシリコングリスを塗布して突っ込むようにしてます。 こうすると余計なテンションがOリングに掛からずに、とてもよい具合に収まりますからねぇ。 名付けて「ラブラブ・ローション大作戦」です〜〜〜@ まぁ卑猥だけど、原理的には一緒ですから。自然の摂理ってのは偉大だなv ここで、ちょっとオマケ。 下ネタが炸裂したついでに、マフラー関連の取り付けボルト類に、例の「スケベイスグリス」を塗っておきます。 スケベグリスってのはアンチシーズ(焼き付き防止・高耐熱グリス)でして大抵は銅の色をしてんだけれど、何故かお値段が一番安いデイトナのは「金色」なんですねぇ。 その毒々しい色使いがまるで「スケベ椅子」のようですから、「スケベイスグリス」と命名したのです。 ちなみに性能は折り紙つきでGoodですよん。 話を戻すと、マフラー取り付け関連のボルトってのはとにかく固着し易いですねぇ。 そして取り外そうとするとガッチリ固まってるとかポッキリ折れちゃうなどの事故が発生しやすいんです。 なので、一旦取り外したならこういう齧り込み防止策を講じておくと、後々で安心できますです。 もっとも今の時点で固着しちゃてれば、外す際のリスクは一緒なのですが。 ノリノリで作業してる時なら、それでもスムーズにネジを緩めるコトが出来たりしますね。
で、サクっと出来上がり。 いざエンジン始動!っテコトで、キーonにしてスターターボタンを押します。 すると「カチッ」「・・・・・・・。」 ←デューク東郷? おやおや、セル回りませんねぇ。 再度ボタンを押し直すと、今度は「カチギュルルッ〜」「バイーン!」。 確かにセルモーターの回転力はかなり良くなってて、オーバーホールした甲斐がありました。 何度かセルを回し直してみても、やはりギュルギュル回ってくれます。 しかし肝心の、一発目の不発はいただけませんねぇ。 ようするに、直ってないんです。 ここで、セルモーターを分解した時に感じた疑念が確信に変わりました。 どうやら本当の原因は、スターターリレーの接点不良のようですねぇ。 大電流を断続してるので、長年の使用により焼損・磨耗して接触不良を起しているようです。 リレー接点には自己清浄作用ってのがありまして、カチカチ作動してると接点が勝手に磨かれ接触がある程度回復します。 今まではそのおかげで、再トライするとセルモーターが回ってくれてたんですねぇ。 しかしモノには限度ってのがありますので、磨耗が進行してって回復しにくくなっちゃったと。 リレーは分解出来ませんので交換しかありません。 しかも使ってれば減る部分ですから、中古品じゃなく新品部品で替えるしかありませんねぇ。 [3SX-81940-00] スタータリレーアセンブリ (\4,368) おおおっ〜また微妙にお値段がよろしい部品ですねぇ。 これも電気的定格さえ満足してれば、他車種だろうがなんだろうが流用可能です。 今月はこれ以上予算的に厳しいので、「検討中」ってコトで交換修理は先送りです〜〜〜〜〜〜〜@ その間の、動態保存サイクルでは自宅から出発して、エンジン掛かったらノンストップでぐるぐる走り回って帰って来るパターンにしとかなきゃ。 現状では、一旦エンジン止めちゃうと次にセルが回るかどうか判んないですからねぇ。
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