●2012年05月27日(日)
昨日の続きです〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜@ 我が家の乗用車に純正で付いてるカーステレオが壊れちゃった事件。 ある日突然CDが演奏できなくなり、ディスクの取り出しも不可能となってしまったのです。 FM/AMラジオは使えるのですけどねぇ。 しかしヤフオクで調達して来た「新車外し」品のおかげでユニット交換して修理完了。 掛かった金額は3千円。(もちろん工賃手数料はナシ) まぁ比較的お安く修理が出来たので、オーナーさんは満足して頂けました。
ここからが、ぶいぶいの真骨頂。 故障した部分を解析し、可能ならば修理をしてスペアとして保管しておこうと思うんです。 そもそもクルマメーカー純正オーディオが故障するコトなんて滅多に無いんですけど。 まず、この純正カーステレオを観察してみます。 トヨタ品番[86120-52640]、製造メーカーは富士通テン、です。 ネットで調べて見ると、驚きの事実が。 通販業者さんのサイトだと、\8,400〜\9,450というプライスで売られているんですねぇ。 まぁ自動車メーカー純正の、しかも専用部品ですから相場としてはこんなもんでしょう。 結果的に随分とお買い得に済ませられて良かったと思いますです。 カーステレオを取り外すまでは、クルマ屋さんの守備範囲です。 しかし私はクルマ屋さんではありません。 本来の私の専門分野である、電気製品の修理と言う事で「ぶいぶいファクトリー」へ持ち込んでまいりました。 ※写真(1)(2)
まずは、前面パネルを取り外します。 基本的に左右1本ずつ、計2本のネジと固定ツメの嵌め込みですねぇ。 ちょっと入り組んだ部分に固定ツメがあるので、折らないよう慎重に外します。 前面パネル側には液晶ディスプレーと操作ボタンなどが付いてます。 制御用のマイコン回路も入っているみたいですねぇ。 そちらへの配線は、集約された1つのコネクタでシンプルに接続されています。 また、本体ユニット天面のパネルもネジ2本外して嵌め込み部も外せば、取り外しが出来ます。 前面パネルが付いたままでもこれは可能なので、もし内部にCDが入ったのを取り出すなら天面パネルを外すだけで何とかなりますな。 本体ユニットは実際にはとても小さいです。 基盤も1枚だけ、リニアICやパワートランジスタ関連は縁にレイアウトされてますし、そもそも出力も大きくないアンプゆえ放熱板もコンパクトです。 2DIN分の大きさがあるんだけれど、ほとんどが枠だけで下半分のスペースが開いてますねぇ。 ※写真(3) 本当の、本体部分を取り外すとこんな感じです。 ※写真(4) CDドライブは所謂「スロット・イン」なので判りにくいですけど、写真の手前が前面です。 ここでCDドライブ部分のみを取り外しますです。 前後2本ずつ、計4本のネジで固定されてます。接続はフレキケーブルですよん。 精密な作りにはなっているんだけれど、今まで散々小型ノートPCとかデジカメとかのもっと小さくて細かい製品をバラしてますから何でもありません。 タイヤ交換の時でもそうですが、人間ってのは酷い地獄を経験して乗り越えれば自然にスキルアップするのです。
CDドライブユニットの天面部分を外します。 ここにはディスク挿入検出のセンサーや、ローディングメカのリミット検出スイッチが極薄プリント基盤にて付いてます。 こういう部分のフレキは分解作業の時に切れやすいので、無理な力が加わらないように養生しておく必要があります。 センサ基盤を外しておけば良さそうですねぇ。 ※写真(5) ここで、故障の原因を想像してみます。 読み込みが出来ない、取り出しも出来ないというコトは、つまりディスクのローディングの途中で動かなくなってるってコトですねぇ。 しっかりドライブにCDが装着できてないので、当然読み込みが出来ません。 しかしスロットイン機構のローディングメカってのは、ちょっと厄介なんです。 動きとかが判り難いですかねぇ。 どうなってるのかな〜とローディングメカの機構を眺めていると、「おや?」と違和感に気付きました。 この時点では、まだ写真(5)ですよん。 左側に小さな歯車が付いてるんですが、これがローディング機構の構成部品なのは間違いありません。 しかし、よーく見ると、途中の歯車が横にズレてて噛みあっておりませんな。 ※写真(6) ちょっと細い棒でこのギヤを回してみると、クルクル空回りするのです。 さらに根元に固定用のツメ&溝らしきものも確認できますねぇ。
やれやれ、原因特定出来てしまいました。 「駆動ギヤの1枚が外れてしまっていた」のです。 自然故障ではありますが、この固定方法がちょっと甘いような気もしますねぇ。
このギヤが付いているのは、キャリッジと言うかディスクを挟み込むローラーが付いてる部分です。 とりあえずこのキャリッジはバネとかも付いてるんだけれど、単体にしてみます。 そして問題のギヤの固定ツメには、熱収縮チューブで包んで締め上げ、固定を補強してみました。 これをヤル為には、どうしてもキャリッジ単体にしなければならなかったのです。 本当ならば、ギヤの固定はメカニカルシールとかクリップで外側から留めるんですよねぇ。 しかしそれだと組立工程で一手間掛かりますので、パチンと嵌め込む方法にしたのでしょう。 多分、それが仇となったんですねぇ。 完璧ではありませんけれど、これでまぁ大丈夫な感じにはなったと思います。 ※写真(7) その後は、組み立てるんだけれど・・・やはりメカ動作での確認がしたいですな。 しかしローディングメカを動かしているモーターにはウォームギヤが付いていますから、手動で強制的に動かすのが困難です。 ※写真(6) なので乾電池を使ってモーターを回してあげるんですが、ちょっと電圧とか判りませんので怖いですな。 仕方が無いので、仮にウォームギヤを外してメカ単体で手動にて動かせるようにして、動作確認です。 8cmCDも、通常の12cmCDもアダプタ無しで両対応してる賢いメカですねぇ。 しかも駆動してるのはモーター1個だけ。ソレノイドとか余計なモノは使っていません。 たいしたモノだと感心してしまいます。 それだけに、例の弱点の存在は惜しいですねぇ。 これでしっかり直ったと思われますので、分解したメカを完全に元通り組み立ていたします。 まぁ分解と逆の手順でやればできるのですが、これがしっかり状態や構造を見てないと困難だったりするんですねぇ。
オマケとして、メイン基盤もまた単体にしてチェックです。 と言うのも、クルマへの配線を詳しく調べておかなければ、カーステレオ単体での動作テストが出来ませんから。 接続コネクタのピン配置は資料がありませんので、現物にて確認するしかないのです。 ※写真(8)〜(11) プリント基板のコネクタ端子には、キチンとピン名称が印刷してありました。 やはり最初に予想した通りの配線で、1本だけ使っていないピンがあったのですがそれはアンプ電源ですな。 つまり外部パワーアンプ(スーパーウーファーなど)の動作をonするための電源ってコトです。 また、このカーステレオは4ch対応になっています。 リヤスピーカーも本来は付くんですけれど、クルマの側にスピーカーはおろか配線すら入っていません。 これの接続コネクタは、青コネクタ隣の小さいのが該当します。 後スピーカ左右+-で4本の配線を使うんだけれど、その他に自動車電話用のミュート(消音)の制御ピンとかもありますな。 更にお隣のコネクタは、どうやら外部入力っぽいです。 多分CDチェンジャーとかが付くんでしょう。 でも操作パネルの方にはそれっぽいモードはありませんけれどねぇ。 そして、一番端のコネクタには配線1本だけ使ってんですが、これは制御端子みたいです。 ピンの名称なんかはありませんねぇ。ヒミツってコトでしょうか。 これは想像の域を出ないんだけれど、例えばステアリングコントロールってのがありますねぇ。 ハンドル部分にオーディオの操作ボタンが付いてるヤツです。 そういうモノを接続するためのコネクタだと思います〜〜〜〜〜〜@ 現在入ってる1本の配線は何の役割なのかは不明なんですけどね。 ついでに、半田付けの状態をチェックします。 大物部品とかコネクタ関連、発熱の多いリニアICやパワートランジスタの足なんかには、経年劣化などで半田浮きが発生しやすい傾向があるのです。 もちろん製造上の問題に起因するのが殆どですけどね。 折角バラしたんですから、しっかりチェックします。 なかなかキレイに仕上がってますねぇ。問題はありませんでした。
その後で、前面パネルまで完全に元通りに組み立てをします。 さらに、背面端子から電源の配線を直接取り出して、安定化電源に接続します。 ついでにスピーカーにも線と端子を仮に作って接続して、音声が確認できるようにしました。 この安定化電源はアルインコ製のEP-1100ってのです。 多分スペックは、9〜16v可変で最大15A、保護回路付きだと思います。 随分長く使ってんですが、ちょっと電圧コントロールのボリュームが接触不良気味ですねぇ。 なので事前に天面パネルを開いて、接点復活スプレーで補修してあります。 もっともごくありふれた2kΩのVRですから、取り替えてしまえば完全に直るんですけどね。 この電源はカーコンポの動作確認なんかには大変重宝するのです。 とは言いつつも、最近ずーっと使っていなかったのを久々に引っ張り出してきたんですけど。 そしてカーステレオを作動させてみますと、バッチリと動作okですな。 CDのローディング・アンローディング時のメカ作動音がちょっと大きい気がしますが、これはクルマの方に付いてる良品と後で比較して見ます。 でもクルマの中ってのは意外と騒音があるので、静かな部屋での感じとは異なるんですよねぇ。 実はこのカーステレオはCD-TEXTにも対応しているのです。 しかし、残念ながらCD-TEXTのデータが入ってるCDが、手持ちのにはありません。 珍品とも言える、CD-Gのなら1枚だけ試験用に持ってんですけどねぇ。 でも、普通のCDが問題なく演奏できれば作動はすると考えて良さそうです。 ラジオの方もチェックしたかったので、アンテナ端子に適当な線で簡易的なアンテナを作っておきます。 すると感度は良くないけれど、ちゃんとラジオが受信可能になりました。 いやいや、久し振りにラジオなんか聞きましたねぇ。 若かりし頃は深夜のFM放送で「ジェットストリーム」なんかを毎日欠かさず聞いてたのですが。 思い掛けない所で感傷に浸ってしまいましたv
もうちょっと多機能でデザインもお洒落で小さければ、スピーカーボックスと専用電源を付けた「手作りミニコンポ」にするんですけど。 やはり、トヨタの嫌がらせみたいな前面パネルのおかげで、そんな気持ちも起きません。 しばらくエージングテスト(長時間作動させてのテスト)を済ませたら、梱包して仕舞っておきたいと思います。 おかげでぶいぶいコラムの格好のネタにもなったし、結構楽しめたのでこれが工賃相当分の儲けだと思いますねぇ。 そもそもヤフオクで代替え品が安く出てたんですから、売却してもたいした金額になりそうもありません。 さらに特定車種専用なので、果たして需要があるのかどうかも怪しいですからねぇ。 また故障原因から考えると、現在使ってる方のだって同じコトになる可能性があるのです。 同じように修理すれば良いけれど、ユニット交換対応が可能ならば、また約15分間で完了できますから便利ですな。
という事で『おクルマ工房★ぶいぶいEg共和国』は、シャープエンジニアリングさんと同等のサービスを提供できる体制になったのです。 (但しカーステレオ部分のみ)
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