●2012年02月12日(日)
本日も、バイクネタです〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜@ 突然真面目にヤリだすんだけれど、理由は何にもありません。 気が向いたと言うか、風向きが変わった、魂が降りてきたってな感じです。 テーマは、「ホンダ・スーパーカブ110」です〜〜〜〜〜〜@ 今から2年ほど前にデビューした、第二種原付クラスのバイクです。 従来、スーパーカブは50ccの上位モデルとして70cc,90ccがラインナップされていました。 途中から70ccカブは無くなって、90ccに一本化されましたけどね。 カブのシリーズ展開はちょっと複雑で判りにくいのですが、大きく民生用と郵政用に分かれています。 民生用カブのなかには通常の「スーパーカブ」と、小径ホイールの「リトルカブ」、そして配達業務用の「プレスカブ」がありました。 しかしこの中で第二種原付モデルが用意されているのは通常のスーパーカブのみなのです。 リトルカブの場合は、ちょっと車体が華奢なのでスピードやパワーのアップに対応させにくい事情があります。 もともと買い物バイクのシャリィの後継車種としての役割がありますので、安定性より取り回しのしやすさを重視しているみたいです。 リトルカブをチューンナップしてみると、やはり70km/h位までスピードが出るとかなりフラフラしますねぇ。 しかもコーナーリングにしても、ちょっと何処かに飛んで行ってしまいそうな不安感に襲われます。 これはひとえに、2.75-14(前輪は2.50-14)と言うタイヤサイズに起因するんです。 通常のスーパーカブの17インチタイヤだと安定志向なのでそういう傾向は少ないんですが。 プレスカブの場合、配達業務用の装備だけではなくて、車体やエンジンにかなり耐久性重視の設計がされています。 コンロッドの大端・ミッションシャフトベアリング径も大きくなっているし、サイドスタンドもスイングアームに付いてます。 そしてギヤ比もまた少々異なります。 しかし何故か、70/90cc版ってのは出ませんでしたねぇ。 これは想像なんだけど、70cc/90cc版のエンジンは耐久性の点でちょっと不利だからかも知れません。 クラッチへの負担が大きくてこの部分は比較的磨耗しやすい傾向がありますからねぇ。 使う側としては、カブ90の粘り強いトルクは配達業務用にはまさしくピッタリなんですが。 70のカブは個人的に最もフィールが好みなのですけど、このクラスはホンダとしてはかなり昔に終わっちゃっている様子ですから廃止されちゃっても仕方ないんですな。 大昔は70ccはスポーティーなクラスとして持てはやされ、ダックスやシャリィにもラインナップされてたのですけどね。 もっとも90ccモデルは実質85ccなので第二種甲の黄色ナンバー同士となり、ようするに70cc版は90cc版へ統合された形になっているのです。 一時期は、カブとベンリィCDには70と90の両方併売されてたので混乱しやすいですな。 ちなみに、配達業務用として90cc版が用意されていない理由の予想には、一応ちゃんと裏付けがありますよん。 後述しますが、郵政用カブのラインナップがその根拠となっているのです。
話が進んできましたが、今度は郵政用のカブです。 一般の人は購入する事が出来ない特殊なモデルなんだけど、働くバイクの代表格ってコトでマニアには絶大な人気があります。 ラインナップとしては、50/70ccと90ccがあるのです。 もっとも普段良く目にする主力モデルはMD90なんですけどね。 (ちなみにMD50は保険業務とかの担当者が使ってるコトが多いみたい) これまた70cc版は過去のモノとなってしまってるようでして、滅多に見る事が出来ません。 車体は旧型の行灯カブがベースなのか、構成が良く似ています。 そしてフロント周りはテレスコピックフォークになっているのです〜〜〜〜〜@ もっともこのフォークの内部構造はそんな凝ったモノではないので、性能に対して過大な機体は禁物ですよんv あくまで目的は、「重たい荷物を載せて走る」コトでして、決してスピードを出すワケじゃないので。 ちなみに車体は50/70/90と殆ど一緒みたいですな。 タイヤサイズは街中の小回り重視で、前後共に2.75-14です。 (つまりフロント側のサイズはリトルカブと異なります) で問題の90cc版、MD90に関してです〜〜〜〜〜@ 民生用にはラインナップが無い、第二種原付クラスが郵政用にだけあるのが不思議ですねぇ。 でも実は、このモデルのエンジンベースがちょっと変わっているのです。 民生用カブ90(HA90)は基本的にカブ50エンジンがベースとなっています。 あちこちの改良はしてありますが、ベースEgはあくまで50なのです。 しかし郵政カブMD90のベースエンジンはC200というOHVモデルをルーツに持つ、全く別モノなのです。 ちなみに兄弟モデルとしてハンターカブCT110がありますねぇ。 大昔には、マイティダックスとかCL90とかもこのエンジン系統が使われていたのですが時代と共にすっかり廃れてしまいました。 その理由は、とにかく頑丈な設計になっているんだけどそれが災いしてフリクションロスが大きいんです。 各部分のベアリングサイズも大きめなので、排気量が小さいとパワーを喰われちゃうんですな。 ちなみにハンターカブCT110なんかは乗ってみれば判りますが、パワーがそんなに感じられずスピードも出ません。 もっとも、その頑丈さが買われて郵政カブMD90として長年に渡り使いつづけられて来たのですね。 つまり、配達業務用としての第二種原付カブとしては、耐久性の点で50ベースじゃ対応できないってコトのようです。
しかし、時代が大きく変わったのです〜〜〜〜〜〜〜〜@ 第二種原付カブも、東南アジア生まれのタイカブとしてどんどん進化しました。 基本的には50ベースには違いないんだけど、かなり大幅に変わっているのです。 そしてC200系とは異なるのが、フリクションロス低減の面も忘れていないんですねぇ。 つまり改良すべき点はバッチリ設計変更してあるけれど、ヤリ過ぎてはいないんです。 そのタイカブシリーズも以前、日本に逆輸入した時期がありました。 タイカブEX100ってのがそれでして、オイルポンプ流用なんかで人気がありましたねぇ。 いずれは第二種原付カブがこのEX100へ置き換わっちゃうのか?と思っていたのですが、その当時はそうはならなかったんです。 しかし、とうとうカブ90(HA02)も排気ガス規制のあおりを受けてモデル消滅になりました・・・・。 そして後継モデルとして登場したのが、このタイカブシリーズをベースにした「スーパーカブ110」なのです。 FIを採用したモデルでして、エンジンベースはWAVE110ですねぇ。 クラッチが2つ付いてて、遠心クラッチ部とシフトチェンジ時の自動クラッチ部が別々なのです。 これはひとえにクラッチ容量をアップさせる為なんですねぇ。 (従来のカブエンジンのクラッチは、たった1つのユニットで全部の動作をしていました) ちなみにカブ110は部品の約2/3はタイ国で製造されていますが、組み立ては日本で行っているそうですよん。 ここまでが、2年ほど前の話ですv
スーパーカブ110は、車体フレーム構成がとうとう大変更されちゃいました。 従来の前半パイプ&後半モノコックプレス鋼板ではなくて、全パイプフレームなのです。 足回りは前テレスコフォーク、後角断面パイプのスイングアームとこれまた大変更ですな。 ちなみにフロントフォークに関してですが、カバーで見えにくいんだけどクランプはアンダー一箇所、つまり音叉型になってるのです。 つまりフロント周りもフレームも、丁度スクーターと同じ構造だと言えば判りやすいでしょう。 なのでスポーツ性に関して過大な期待をしてはイケマセン。 旧モデルとの比較ならまだしも、絶対的な走りの性能ってのは重視されているワケじゃないのです。 で、ここまで大幅な変更がされているにも関わらず、外観デザインは見事に従来からある「スーパーカブ」の雰囲気を保っています。 これは素直に凄いと思いますねぇ。 どうしてもこの手のバイクを愛用している方々ってのは保守的な考え方をしますので、あんまり変わっちゃうと馴染めませんから。 ヤマハ・メイトやスズキ・バーディーではなく、あくまでホンダ・スーパーカブじゃなゃならないんです。
そして配達業務用としてのモデルも用意されています。 ちょっと地味な存在なのですけど、「スーパーカブ110プロ」がそれですねぇ。 「プロ」って付いている所がミソなのです。 小径タイヤと前後大型キャリアを装備してて、従来のプレスカブを踏襲していますねぇ。 しかしフロントフォークは全然違うモノが付いていて、スポーツバイクのと同様に上下2箇所クランプなのです。 つまりちゃんとしたトップブリッジがあるんですな。 もちろんこの目的は、重たい荷物を運搬する為でして、決してスピードを出すコトではないのですけど。 ちなみにリヤサスもバネレートの高い設定になっている様子です。 お値段は通常モデルの約4万円増しと高いんですよんv そして郵政用モデルなのですが・・・・これが特筆すべきなんだけど、民生用のカブ110プロとほぼ同一なのです。 違うのは、色だけですねぇ。(郵政カブは赤色です) それとグリップヒーターが標準装備されている位ですか。 つまり、やっと我々一般ピープルもお金を出せば郵政カブと同じのが購入できてしまう時代が来たのです。 ただしエンジン内部の詳細に関しては、まだまだ資料不足ゆえ突合せが出来ていません。
今回のタイトル写真は、この郵政カブMD110のビストンとシリンダーです〜〜〜〜@ 故あって新品部品を取り寄せましたので、色々と眺め回してみました。 まず驚くのが、シリンダーがアルミなのと、ピストンの軽量化設計ですねぇ。 まるで、と言うかまんまタケガワのボアアップキットそのものです。 ちなみにボア×ストロークは50×55.6mmだそうです。(数字は諸説あり) ノギスでの実測値だと、ピン上(ピン穴の端〜ピストンの肩まで)が、18.0mmです。 ちなみにピストンピン径は従来のカブと同様の13.0φですよん。 という事は、サイズ的には限りなくタイカブ100EXに近いですな。 HA02カブ90のピン上は17.3mmですので、ほぼ取り付け互換が期待出来ます。 しかしEX100と異なるのが、ピストンヘッド形状でして、大きく凹んでいるのです。 写真ではちょっとキレイに写りませんでしたが、まるで50用のsステージボアアップピストンみたいですな。 でピストンリングなんですが、これまた郵政用だからか、インサイドベベルタイプの形状になってますねぇ。 慣らし運転の短縮にはとても効果があるのですけど、こんな贅沢なリングは郵政仕様だけなのかは不明です。 シリンダーの長さは70mmあります。 通常のカブ50系統は63mmですから、都合7mm長いですねぇ。 ちなみにHA02カブ90のシリンダー長は69mmですから、110はプラス1mmなんでしょう。 スタッドボルトはタイカブ同様M7になっているのです。
ちなみにシリンダー[12100-KWB-600]の部品価格は、約1.7万円もします〜〜〜〜@ ボアアップキットではノーマルシリンダーをボーリング加工するようになっているので、予備が欲しいって人がいると思いますが意外と高いんですねぇ。 シリンダー下端面のオイル通路はちょっと変わっています。 まず一番目をひくのは、リターン側のトンネルが無くなってるんですねぇ。 オイルの回収は、カムチェーントンネルから行っています。 (ちなみにFIカブ50のシリンダーは従来と同じでリターントンネルがあります) さらにオイル供給ラインがシリンダスタッドボルトに沿う構造は同じですが、右下ボルトだったのが右上ボルトへ変わりました。 これは、実はヘットカバーに「オイルシャワー」機構が付いてて、吸気バルブ側へオイルを一部噴射しているんです。 その為にオイルラインが変わっているのですねぇ。 ここはFIカブ50も同様の変更がなされています。 で、スリーブの下端に一部切り欠きがあります。 写真左下で確認ができますが、カムチェーントンネル側が凹んでます。 これがどのような意味を持つのかは、ちょっと不明です。 FIカブ50にも同様の切り欠きがあるのですが、位置は反対側なのです。 もしかしたらピストンピン内の空気抜きなのかもしれませんねぇ。 部品はタイ製らしいです。 ちょっと気になるのが、バリが結構あることですな。 写真上の大きなのをよく見ると、スリーブ上端カドにバリが立っているのが判りますよねぇ。 キタコやタケガワのシリンダーには過去から見てますが、一度もこんな酷いバリがあったコトはありません。 もっとも実際の使用に対して問題となる部分ではありませんけどね。 組み込み作業中とかに手を切らないよう気をつけなきゃなりません。
実は、スーパーカブ110がデビューしてまだ2年なのですが、早々にモデル終焉と言う事で生産中止になったようです。 マイナーチェンジをして、どうやらデザインが大幅に変わり、ちょっと値段も下がって、さらに噂では中国生産になるとか・・・。 と言う事で、カブ110ネタは続きます〜〜〜〜〜〜〜@
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