●2011年12月24日(土)
ようやくバイクネタです〜〜〜〜〜〜〜〜〜@ ぶいぶいEg共和国は、昔からバイクサイトとしてやってますです。 しかし最初からネタサイトだとか言われたり、迷走しまくって現在もその路線まっしぐらですねぇ。 本日のお題は、TT250Rのエンジン修理ですv TT250Rは、ホンダXLR250のヒットを睨んで開発された、ヤマハのオフロードマシンです。 オフロードの世界にも実はいくつかの種類があります。 最も判り安い派手な世界の「モトクロッサー」タイプ。 これはスプリント競技に相当しますので、マシンにはパワーと瞬発力が要求されます。 完全に走り一辺倒な性格ですから、ツーリングとか普段使いにはあんまり向きませんな。 お次は、「トレッキング車」ですねぇ。 これは比較的緩めなマシンでして、パワーよりもむしろ粘り強くマイルドで扱いやすいエンジン特性が要求されます。 このジャンルではヤマハの銘車セローが有名ですねぇ。 実はセローに関してはとても興味深い談話がヤマハのサイトにありますので、オススメです。 ★ヤマハ/XT225セロー 開発者インタビュー★ そしてトレッキング車とモトクロッサーの中間位置に、XLRやTT-Rがあるのです。 競技で区別すれば、「エンデューロマシン」ですねぇ。 長丁場のレースですから、ある程度の瞬発力やコントロール性と両立した扱いやすさが必要です。 スポーティーでいて、かつ普段使いも可能ってので、公道使用ではもっとも美味しいタイプですな。 さらに「トライアルマシン」なんてのもあります。 これはスピードを競うのではなく、如何に酷い悪路を走破攻略するかを考えるんですねぇ。 純粋にバイクコントロールのテクニックで勝負なので、根強い人気があります。 かつては公道で使える市販バイクもありましたけど、タンクが小さいとかパワーが無い等の理由で今では廃れちゃいました。 ただし、この楽しさのエッセンスを積極的に取り入れた「トレッキング車」は大成功してますねぇ。 ケモノ道の探検なんかには、やはりトライアル車的な要素は不可欠です。 そしてこれらの他に派生したジャンルってのがあります。 ダート走行の競技に特化した、「ダートトラッカー」。ホンダFTRなんかですねぇ。 またサンドバギーのような使い方をするTWとか、牧場の実力者AGとかがヤマハから出てましたし。 そしてちょっと旧車っぽい、不整地というか未舗装路時代の復刻版みたいなのもありますな。 レトロシングルとかでして、カワサキのエストレアなんかがメジャーです。 オフ車の仲間に入れてよいかは微妙なトコなんですけどね。 また、XLRやTT-Rの系統のマシンで、ツーリングに特化した仕様のも人気があります。 ラリーレイドとか言われる区分ですねぇ。 BajaとかRaidなんて名前がくっ付いてたりします。 また排気量クラスは〜250ccが一般的なのですが、もっと大きいクラスのもあります。 アフリカツインとか、DR800なんて変り種もありますねぇ。 BMWが積極的に商品展開してますです。 という事で、むしろ明確にジャンル分けができるマシンの方がむしろ少な目です。 使用目的だって、オフ車=林道なんて図式は必ずしも当てはまりません。 便利な足として使ってる人のほうが圧倒的に多かったりしますからねぇ。
で、250ccのオフ車TT250Rに話を戻します。 これは空冷単気筒のハイパワーエンジンを搭載してんですねぇ。 げんづいではエミッション関連とかですっかり水冷化が進んじゃいましたけど。 パワーとしては、30馬力ほどあります。 リッター辺り120ps出ていますから結構なモノですな。 しかしこれによって、放熱や潤滑がちょっと難しくなってるんですねぇ。 そして運が悪いと、熱によるトラブルを引き起こすのです。 その顕著なのが、オイル漏れですねぇ。 熱による歪みとかガスケット破損など理由は様々です。 私の愛車も過去にそういう憂き目にあってますが、これはACGカバーのクラックが原因でした。 そして今回のTTRは、どうやらガスケット切れのようですねぇ。 実は、このTTRは「4WA」と言うかなり後の方のモデルです。 私のは初期型の「4GY」ですからねぇ。 エンジンの詳細には、結構な差異が見られますな。 フライホイール・クランクマスも変わってるとのコトですし。 外観から一番違いが判り安いのが、ブローバイガスの抜き方でしょう。 初期型はクランクケース背面からブローバイホースが出ていますが、後期型はシリンダヘッドカバーになっているのです。 どうしてもコンパクト設計なエンジンなので、クランクケース内圧の制御は大変なようです。 しかし、基本的な構成に付いては同じなのです。 また、TT250Rには無印とRaidの2つのモデルがあります。 ビッグタンクと大型ライト・キャリアが付いただけと勘違いしやすいですけど、実は足回りが別モノなのですねぇ。 無印はひたすら走りの方向で設計されていて、カートリッジタイプのFフォークとか、アルミスイングアームなど 豪華装備が奢られています。 エンジンに関しては、同世代モデルならば基本的に同一らしいんですけどね。 私の4GY1は1993年のモデルなので、18年経過してて古いです。 なのでいつかそのうちにエンジンの整備をする機会が生じるのではないかと思いますから、今回の修理には興味深々ですねぇ。 予行演習と言うか、チューンナップの可能性探求なども考えつつ作業してまいります。
DOHC4バルブのセンタープラグ配置・ペントルーフ型燃焼室を持つ、いわばオーソドックスな設計です。 カムチェーンもごくありふれたサイレントチェーンですからねぇ。 シリンダーボルトは、上から通してシリンダを貫通するタイプになってます。 「ジョグっぽい」と表現したいですねぇ。 SR系とかだと貫通ボルトではないので、ちょっとシリンダ締結剛性に不安があるのですが、そうじゃなくて安心です。 また、古いバイクだとシリンダボルトがスタッドボルトになってて、分解するとクランクケース側にボルトが残ります。 これは締結剛性的には良いんだが、整備性は悪化しますねぇ。 とりあえずここの部分は、TT-Rエンジンは良く考えられているなと思いました。 分解は、手順通りに部品を取り外していくだけ、と言ってしまえば簡単ですねぇ。 キャブレターはもちろん、セルモーターも外さないと工具が入りませんから、「見えているモノは全部外す作戦」で行きます。 また、バルブタイミングはカムスプロケットに線が入ってて、これをヘッドのガスケット面に合わせるタイプですな。 吸気と排気のカムシャフト・カムスプロケットは共通で使い回していますので、兼用です。 なのでちょっと位相を合わせるのに混乱しやすいので、ちゃんとメモなりしときます。 (デジカメで写真撮っておくのが有効ですよん。この写真の目的がそうなのです) マーカーで印をつけておくと、より確実ですねぇ。 カムスプロケ廻りは、エンジンによって作業性が随分と変わります。 TT-Rはとても楽ですねぇ。 またカム山の潤滑用にオイル溜りがかなり多くありますので、分解時には沢山吸い出さなけれはなりません。 これはドライスタート時の対策なんでしょうねぇ。 ちっちゃいオイルパンがヘッドにもあるって感じです。 ちなみにクランクケースに、上死点マークとかがあるんですが、これが少々見難いのです。 小さなフタを外して覗くのですが、刻みマークが小さいですからねぇ。 しかもTと言う文字が横向きに打刻されてて、刻みマークがすぐ隣にあるのでHに見えるのです。 このHの、右と左のどちらが合わせマークなのか悩みます。 もっとも私は、プラグホールから細い棒を突っ込んで、ピストンの物理的な上死点を手の感触で探す流儀なのです。 あわせマークは補助的に確認をするのに使ってます。 ダイヤルゲージを固定してやるのがベストですけど、さすがに準備とか手間ですからねぇ。 で、シリンダボルトは4本ですけど、実はカムチェーン側の2本はカムシャフトの下に隠れています。 なのでカムシャフトを完全に取り外さなければシリンダヘッドやシリンダを外せません。 ここでもやはり「見えているモノは全部外す作戦」なんですねぇ。 コンパクト設計ゆえなのですが、整備性も大事だけどやはり締結剛性の方が優先してもらいたいです。 一つ気が付いたのは、カム山。 かなり尖がってて、まるで実用車のソレですねぇ。 このエンジンは8,500rpmでレブリミットだそうで、それほど高回転の伸びはありませんがそういう設計なのでしょう。 ハイカムが何処かからか発売されていたらしいんだけど、確かにこのカムを見るとどうにかしたくなりますねぇ。 しかし、この控え目な設定で、トータル的にトルク出しを考えるって設計手法が実はとても良いのです。 やたら広げたり増やしたり大きくしたりのエグい改造ってのは、良い結果を生まない場合が殆どですからね。 そもそもベースエンジンになったSRX250の場合は、ありゃダメダメでしたから。 確かに高回転まで回りますけど、余りにも全体的にトルクが薄くて非力なのです。
で、取り外してピストンとご対面です〜〜〜〜〜〜〜〜@ 250ccの単気筒だと、結構でかいですな。(73mm) 実はTT250Rのピストンと、XJR1200のピストンは取り付け互換があるんですねぇ。 そうなるとボア3mm増しの270cc仕様となるのです。 またSUGOからハイコンプピストンも出てましたねぇ。 夢は膨らみますv しかしカーボンの付着がすごく頑固ですねぇ。 ガッチガチに硬化してて中々取れません。 かなり熱が掛かってるんでしょうな。 というコトは、つまりガスケット剥がしも苦労するってコトです。 実に2時間近く掛かりましたよん。 単コロで、さらに面積も小さいのに、ここまで苦労するなんてびっくりです。 今回の修理テーマは、「オイル漏れ」だったのです。 原因はシリンダーベースガスケットが不具合を起こしてました。 ようするにガスケットを新しくすれば修理完了なのですが、そんな一言で済ませたくない心境ですねぇ。 ガスケットを剥がすケミカルとかもあるのですが塗装を強力に侵食するので、TT-Rのエンジンには使いにくいのです。 そもそもあれだけ強力に固着してると、ケミカルの浸透はしないような気もするのですけどね。 私のやり方だと、ガスケットにCRCを吹き付けて柔らかくし、スクレーパーで少しずつ丁寧に剥がすんです。 運が良いと一気にベリッ!と剥がれますが、そんなときは祝杯モノですねぇ。 将来的にまたバラす予定があるのならば、組み込み時ガスケット片面に薄く液体ガスケットを塗布しておくのです。 ガスケット面の面出しも丁寧に行います。 昔のイギリス車なんかだとかなり面精度が粗くて、オイル漏れは日常的にするんです。 それを手作業で丁寧に仕上げると、ちゃんとオイル漏れは止まるのです。 真心込めて丁寧に、ですねぇ。 でも腰上オーバーホールじゃありません。 あくまでオイルリークの修理ですから、燃焼室/ピストンなどのカーボン除去はあくまでオマケです。 もっとちゃんとやると、相応の工賃を頂かなくてはならなくなりますからねぇ。 ちなみに費用ですが、ガスケット腰上類一式で約\4,500-ほどです。 それとオイル交換が必須ですねぇ。 工数は確か3.5H位だったかと。(作業加算アリですよん) 予算としては、\34,000〜\35,000-位になると思いますです。 もっとも今回は別の部分も修理してますので、もちょっとお金が掛かってたりもします。
久々に、自分の以外のTT-Rを乗りました。 全然レスポンスが違います。ちょっと腰にキますね。 比べてみると後期型ってのは、かなり紳士的で良いエンジンフィールですねぇ。 オフ車として真っ当になっているのです。 我が愛車は初期型4GY1でピックアップ・レスポンスが良い反面、トルクの粘り強さが薄いのです。 さらにそこへミクニTMRキャブを入れてますので、よりレスポンス志向に振ってます。 確かに加速力はとても良いです。 しかし、ガツン!としたその加速フィールはちょっと腰にくるんですねぇ。 じんわりと速度を積み重ねていくような、後期型のフィールの方が面白みはないけど、確実に使い易いですな。 それとRaidなんだけど、実は乗るのは初めてでした。 見た感じは無印と一緒の車体なんだけど、走行感覚には歴然とした差が感じられますねぇ。 とても穏やかで、普通に走ろうよってバイクが囁いてくれるような気がするのです。 無印の方は、ヤッてやる、ヤッてやるぜぇ〜みたいな感じがありますからねぇ。 Raidの車体フィールの方はそんな気負いはナシでも乗れるのです。 ただし乗り降りは、シートの形状からかちょっと大変ですねぇ。 もう二周りほど車体が小振りだったならばと思います。 総合的な感想として、とても良いバイクですねぇ。
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