2011年08月のコラム
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●2011年08月31日(水)

いよいよ8月も終了です。
とにかく暑くてたまらない夏でしたねぇ。
もっとも去年は、9月の残暑から物凄く暑くなったのですが。

ちょっとコラム更新の勢いが弱くなってしまいましたけれど、来月からはこまめにこまめに更新したいと思いますです。
なかなかネタが見付からなかったりするんですが、がんばりますね。

●2011年08月30日(火)

なんか、今日の午前中に「検証番組」なんてのをやるそうですねぇ。
東海テレビのぴーかんテレビと言う番組中に誤って流してしまったテロップ画面なのですが、プレゼント当選者の欄に「セシウムさん」と入ってます。
冗談がキツいんですが、さすがに大騒ぎになりました。

そう言えば先日は蒲郡市長が述べた、歴史の記録から津波が何度も来ている場所に家を建てるのは・・・と言う趣旨の発言もなんか問題視されていたり。
アニメ映画の「崖の上のポニョ」も、津波が襲ってくるシーンがあるのでテレビ放映計画がポシャったなんて噂もあります。

ちょっと神経質かなと思われる事例もあるにはあるんですが、冒頭の「セシウムさん事件」は完全にアウトでしょうな。
もっともあれはお詫びしてお終いになるはずなんですが、検証って一体何をするんでしょうか。
もしかして、そのテロップを作成した担当者と番組責任者を並べて・・・なんてまさかやらないでしょうねぇ。
いくら個人のミスでも、組織ってのはちゃんと代表して責任持って対応する役目の方がいるんです。
会社としては、社員たちを守らなければならない義務も負っていますから。
もちろんやっちゃった人は大いに反省しなければなりませんけれど。

もっとも、一人の仕業ではこんな事件(事故?)なんて起こしようもないんですけどね。
何から何まで私一人でやってる、ぶいぶいコラムとかぶいぶいYoutibe番組とは違うんです。


お詫び番組は、東海テレビのササイトの中から、2週間みられるようになっているとの事です。

なんか外部の下請け社員がやったと言う事ですけれど・・・・ホントかな??
年配の方ってやたら「下請けが」「アルバイトが」と言い訳になっていない言い訳をしたがりますからねぇ。
今回はネットで、その下請け会社とやらはどこだと推理している人たちがいて、どうやらここじゃないかと絞り込んだ様子です。
でも、東海テレビはわざわざ否定するコメントを出してたりもするのです。

真実がどこにあるのかは不明なんだけれど、お詫びをする際に「嘘も方便」は通用しませんな。

●2011年08月29日(月)

コラムというか日記ですけど、最近あった出来事を書くってのがお約束になっています。
そして、夏休みの宿題としても定番だったするんですねぇ。

で、私の最近あったコト。

働くカウンタックこと、ホンダ・アクティ軽トラックですが21歳という年代モノにも関わらず、走行距離がとても少ないです。
そしてつい最近、とうとう「55,555km」を記録しました〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜@


ちなみに用足しに出かける道中に信号待ちしててふと気が付いたので、末尾の桁から0.3km手前での撮影になっています。
でも、5が丁度5つ並んでいるのでイイ感じですよねぇ。

ちなみに、バイクのトリップメーターを巻いてると数値がゾロ目になるんで、そういう光景は見慣れている為に珍しさに気が付かずに、もう少しで見落とすところでした。
これは正真正銘のクルマのオドメータです。


今では、走行距離は車検ごとに車検証に記載されます。
なので中古車の「メーター巻き」不正は少なくなったみたいですな。

バイクの場合だと、やたらと6千キロ前後のが多かった時代もありましたからねぇ。
もっとも車検のないクラスではそういう不正防止策はありませんので、従来通り現物の程度とか消耗具合を見て判断するしかないのですけど。


そして良く聞かれるんですが、クルマやバイクの寿命ってのは、どの位までなのか。
この「どの位」ってのは、一つに走行距離で、次に経過年数ですな。
でも実は使用状況によって物凄く変わりますんで、一概にこうだとは言えません。
車種や構造により、耐久性ってのはかなり違います。

一般的に言うと、クルマの場合はエンジンとボディのどちらかが壊れるとお終いってことになってます。
貨物車の場合だと、ボディ(シャーシ)は構造上、かなり丈夫に作られてますので長持ちし易いですな。
(もっとも業務用に酷使するとダメなのですが・・・・怠け者の貨物車が長生きするんですv)
エンジンに関しては、完全に当たり外れがありますんで、これは買った時に運命がある程度決まっちゃってます。

バイクの場合は、やはり走行距離により寿命がくる場合が多いですねぇ。
それと圧倒的に、取り扱いの悪さや事故(転倒含む)のダメージに因るものが多いです。
大事にすると、意外と長く使えたりするんですけどねぇ。

●2011年08月23日(火)

ちょっと一休憩。

なんか、最近やたらとテレビで韓国関連ネタが出ますねぇ。
特にBSなんかだと酷いものです。
BSは、韓国ドラマとか通販ばかりでどうやら増えたチャンネルを埋めるコンテンツ制作が追いついていない様子。
そもそも従来は地上波チャンネル1本だけ(NHKは2本)だったのが、倍に増えるんで。

・・・ぶいぶいEg共和国サイトにしても、ぶいメカはほぼ放置状態ですし、このぶいぶいコラムも更新頻度はかなり落ちてますねぇ。
ネタを延々と供給し続けるってのは、とっても大変なんですわ。
テレビ番組制作とは比べ物になりませんけれども。


でも、なんか韓国ブーム?ってのはちょっと強引なアピールをし過ぎちゃってる感があります。
やたら流行ってる流行ってると煽り立てるだけじゃなく、報道の方へ仕込むとか、呼び方とかをこっそり変えて浸透させようとか、
正直言って不愉快・気持ちの悪い手法まで取ってるみたいですからねぇ。
もっとも、そういう感覚ってのも所詮外国人がやってるコト(だと思う)んで、この国のマーケットに果たして受け入れられるかどうかは疑問です。

韓国タレントも、なんかスカしてるキャラばかりですねぇ。
メイクなのか化粧なのか、あんまり誰が誰だか区別は付きにくいんですけども。
私が時々お邪魔するリゾートホテルも、どうやら韓国ブームに乗っかったらしくて、あちらのドラマだか映画だかの撮影に度々使われているようです。
もっとも、この不景気なご時世にリゾートホテルの運営ってのは、並外れた苦労があると思いますので色んな試みをしてんでしょう。
ちなみに、そこの新しく建設しているホテルの方をちょっと見学させてもらいましたけれど・・・豪華でお洒落ですねぇ。

最近の流行のリゾートホテルってのは、部屋はちょっと小さめで、調度品に凝ってるんです。
それと風呂なんですが、室内とテラスにジャグジー付きのと2本立てがお約束みたいですな。
一昔前の作りだと、やたらだだっ広くて、屋外は風呂ではなくプールってのが相場だったのですが。
まぁいくらハイソな方でも、あんまり部屋の空間が広すぎると落ち着かないんでしょうな。

でも、あまりにも高級過ぎてるんで何か緊張してしまいます。


と、たらたらと止め処なく「前フリ」を書き連ねて来たんですが・・・・

たんすの中を片付けていたら、ずーっと前に買って開封せずに仕舞い忘れてた、靴下(軍足)を発見しました。
高熱環境での作業で、ヤケド防止の為の綿100%製品ってコトで買ったんですよねぇ。
もし化繊だと、燃えて溶けて足に付着し大変なコトになるからってんで。
(ちなみに燃える事はしょっちゅうでしたけど)

ただ、履き心地がどうしてもゴワゴワしてんですよねぇ。
折角あるんだから、使いたいとは思ってますけど。


で、この軍足を見て、ちょっとネタを考えてて・・・・あ、そう言えばそんな名前の韓国人タレントがこの間来日していたなと思い出しました。
軍足ちゃん、ですよん。
ただ、それだけなんですけどね。


●2011年08月21日(日)

今回のバイクネタは、「燃料噴射(FI)」に付いてです〜〜〜〜〜〜@

排気ガス規制の波がバイクにも来て、どんどんとFI化が進んでいます。
FIってのは「エフ」「アイ」でして、エフワンじゃないですよん。
Fuel-Injection(フュエール・インジェクション)の略号です。

ちなみにインジェクション車なんて呼び方もしますねぇ。
たま〜に聞く間違いとして、インジェクション/イグニッションを取り違えている方がいます。
イグニッション=点火装置ですんで、インジェクション=噴射装置とは随分と意味が違ってきます。
もっとも言葉の響きとしては大変良く似ていますので、癖になってる人はご注意を。


そもそも、排気ガス規制が無くてもバイクには少しずつFI化がされていく傾向がありました。
元々四輪の方ではほとんどがFI化されてしまっててキャブレター仕様なんてのは珍しくなっちゃいましたけどね。
(ちなみに、ぶいぶいトラックは古いHA3ですから、ばっちりとキャブレター仕様です。1キャブですよん。)

FI化をすると良いのか。メリットがあるならデメリットもあるのか?
そんな疑問が当然出てきます。
その解決には、まずはFIの仕組みってのを知らなければなりませんねぇ。

※本来はぶいメカのコーナーでやろうかと思ってましたけど、細かい方式の違いとかがまだ多々あって発展中ゆえ、まとめるのは時期尚早だと考えてます。


キャブレターによる燃料供給システムをまずおさらいします。
燃料タンクからコックを経由して、キャブの「フロート室」に一定量の燃料を移送します。
フロート室内の燃料液面レベルは、燃調(=エンジンの調子)に影響しますから一定の量を保つ仕組みがありますね。

フロート室内の燃料は、エンジンの吸気負圧によりジェット→ノズルを通って吸気管内へと吸い上げられます。
厳密に言うと、吸気菅内の圧力と、フロート室液面上の空間の圧力の差により、圧力の低い方へ燃料が流れて行くのです。
(つまりフロート室のエアベントチューブも、燃料供給の為に重要な役割を持っています)

そのまま垂れ流しのように燃料を吸気菅→エンジンへと流しては良くないので、流量調整の絞り(=ジェットの穴径)で丁度良い量に制御します。
ジェットの穴が小さければ燃料が少なく(=薄く)、反対に穴が大きければ燃料は沢山(=濃く)送られます。

そしてノズル部分手前で、これまた予め決まった量に制御された空気と混ぜられ、泡のような状態になります。
それがノズルより出た時点で霧状となり「混合気」と呼ばれる気体となるのです。
ちなみに混合気が完全にガス化するのは、エンジン内部に入って加熱された時ですよん。
(つまり基本的にはエンジンが温まっていないと正常運転の状態にはならない)

以上の流れより、キャブレター仕様の場合の燃料は、吸気菅内に「吸い上げられ」て供給されるのが特徴です。


次に、インジェクションのシステムです。
燃料タンクからは、「燃料ポンプ」により高い圧力が加わった燃料を送り出します。
この圧力はきちんと制御されており、一定になっています。

インジェクター(噴射装置)は、吸気菅内への燃料の弁となっています。
ポンプで加圧された燃料を、インジェクター弁を開くコトにより吸気菅内へ「噴射」します。
噴射された燃料はノズル先端形状により霧状になります。
ここで重要なのは、インジェクターは弁の開閉をしているだけで、燃料に圧力を加えている訳ではないんです。

燃調はどうやっているのかと言いますと、燃料の供給量を決定するのは次の項目があります。
まずは、燃圧。燃料の圧力でして、燃料ポンプが担当しています。
燃圧が高ければ当然供給量も増えて、反対に燃圧が低ければ供給量が減ります。
これはポンプ内に燃圧レギュレータ機構を持ってて、そこで一定圧に制御しています。

次に、インジェクターノズルの径です。
インジェクター能力とも言いますけれど、1分間当たり何ccの燃料が通せるかって数値で表現するのが一般的です。
(インジェクターの定格にはその他、動作電圧なんかもありますけど、動作電圧は燃料供給量には直接関係しません)
ジェットの穴径と似ていますが、液体の流量ズバリで言うのがちょっと違いますねぇ。
ちなみにジェットの大きさは、穴の径で言うのが一般的です。
例:#120なら、120/100mm=1.20mm。

最後に、インジェクターの弁が開いている時間の長さです。
長く弁が開いてれば、沢山の燃料が供給されます。
そして開いている時間が短ければ、燃料供給量は少なくなります。
ここを変化させて、精密に制御することによってエンジンの燃調を行うんです。
エンジン制御装置(コントローラ、ECUと呼ばれます)が担当しています。


で、もし色んな事情によって燃調を変えたい場合。
一般的には「燃調を濃くする」のが多いですねぇ。(キャブの場合、ジェットを大きくする方向)

インジェクターそのものを容量の大きなものに交換する方法が考えられます。
もっとも、そんなに丁度取り付け可能な、違う容量のインジェクターが見付かるとは限りませんので現実的じゃないですな。
これはよほどのエンジン仕様変更により、インジェクター容量が能力不足となった場合にのみ使われる方法です。

燃圧を上げる方法もまた、あんまり現実的ではありません。
確かに全体的に持ち上げる方向で作用するとは思いますけれど、燃料レギュレターは燃料ポンプAssyに組み込まれてて分解不能の場合が多いです。
個人的には、もっとも簡易的な燃調補正の方法として良いのではないかと思うんですけどねぇ。
バイク用の燃料レギュレターは機械式で、バネと弁により行ってる物が主流でしょうから、変更部品が安く済むと思われるのです。
(調整ネジである程度自在に変えられるとすごく都合が良いのですけどねぇ)
まぁあんまり燃圧で上げ過ぎれば、インジェクターの動作条件も超えてしまうと思いますんで限界はあります。


あとは、インジェクター弁の開いている時間を長くする方法です。
これだけは、電子制御で行えますから、最も現実的でかつ一般的に行われている方法ですな。
ECUのプログラム(燃調制御マップデータ)を書き換えるのが正攻法でしょう。
燃調マップはEg回転数とスロットル開度の要素で、細かく区切られそれぞれの数値が入っていますので、
そのデータの書き換えをする場合にも、細かな条件ごとに燃調補正が可能となるメリットがあります。
ただし、改造ECUの製作には相応のコストが掛かりますねぇ。

そもそもECUって部品はとっても高価なので、交換しようと思うと大変なんです。
ちなみに四輪ではECU丸ごとではなく、ROMのみの交換とか、追加回路により、補正可能な仕様化をして販売してるのが主流ですねぇ。
もっとも改造防止策とかが施されているECUだと、パーツメーカーがECUを下取りして工場内部で分解・加工して製品化している場合もあります。
これがバイクにそのまま当てはまるかと言うと、少々疑問です。
と言うのはやはり改造ECUの市場規模がどの程度あるのかと言う点ですねぇ。

なのでECU丸ごと交換しない簡易的な方法として、サブコン(サブコンピュータ)を取り付ける方法がバイクでは主流です。
インジェクターの弁の開いている時間(燃料噴射量)の制御には、主にエンジン回転/スロットル開度により決定しており、エンジン温度や外気温で補正してる場合もあります。
四輪では一般的な、吸気質量(エアフローメータ・センサ)は制御に使っていないケースが殆どですねぇ。
燃調は空燃費と言う位なので、燃料の量と、吸気する空気の量それぞれを計測してキチンと混ぜるのが本筋です。
でも空気の量を計測するのは困難ですから、どうしてもそういうセンサは高価で複雑となります。
バイクの場合は、エンジン回転とスロットル開度の要素のみで、空気量は予想として簡略化し、ちょっと雑な制御でやってんですな。
※ここ重要です。クルマ屋さんがバイクのFIを理解できなくなる要因がココにありますので。

サブコンでは、高級な方式だと出口制御、簡易な方式ではセンサ信号を加工する入り口制御となってます。
入り口制御では大抵、スロットルポジションセンサの信号を「スロットル開度+」方向へ加工する手法が使われますねぇ。
電気回路的に簡単ってのがありますけど、直接燃料噴射量を増やしてる訳じゃないので、どうしても補正できない状況が生じやすいデメリットがあります。
さらに、点火時期制御にもこのスロットル開度の要素を使ってたりするので、そちらへ影響する場合もあります。
(排気量の小さなエンジンでは、固定進角の場合もあるんですが・・・・)
スロットルポジションセンサ自体を物理的な取り付け位置をずらすのも良さそうではありますが・・・・・
大抵のFI制御では、アイドリング(スロットル開度=0)は別モードにて制御している場合が多いので、これに支障をきたす恐れがありますねぇ。

出口制御の場合だと、一律ではありますが燃料増量が正確に行えるんです。
遅延回路などで、インジェクター弁の開く信号をプラスしてあげるんですねぇ。
サブコンがどの程度高度な制御モードを持っているのかは判りませんが、本来のインジェクター駆動信号からアイドル状態を判断して増量補正を止める、なんてコトも原理的に可能です。
一律リニアに増量するのではなくて、噴射量に対応した比例カーブでの非リニア増量だって必要と有らば出来るんです。
この方法がバイクでは最も一般的で主流となっているのです。
もちろんですが、インジェクター容量を超えてしまう増量は不可能です。
そういう場合は多分特殊でしょぅけれど、大きな容量のインジェクターへ交換し、サブコンは燃料の増量だけではなく減量方向への補正も出来るモノを使わねばなりません。
まぁ大掛かりに仕様変更するんならば、いっそのコト制御系も丸ごと汎用性のあるシステムへ交換してしまうのがベストでしょうけどね。


ちなみに、FIには「燃料コック」なる物は必要ありません。
燃料ポンプを止めてしまえば、燃料は送出されませんからねぇ。

それと、転倒事故なんかが発生した場合には、FIだとちょっと厄介です。
運転状態だと当然燃料ポンプも働いてて、燃圧が加わったガソリンを送り出しています。
バイクが事故でひっくり返っててもそのまま高圧で燃料を送り続けていると、周囲へガソリンを撒き散らし火災へと結び付きます。
そういう大惨事にならないよう、「転倒センサー」が必ずFI仕様のシステムには付いていて、バイクがひっくり返った場合には即座に燃料ポンプを停止します。
もちろんですが、事故じゃない時には決して誤作動しないような設計になっています。
私が知る限り、どんなセコいバイクのFIにもこの安全策はしてありましたねぇ。


ちなみに、タイトル写真はヤマハ・シグナスX(FI仕様)の燃料タンク/ポンプ部分です。
燃料吐出口のジョイント部分は、高い燃圧が加わっている前提ですから全て厳重にバンド締結や強固なロック付き継ぎ手が採用されています。
燃料ホースだって耐圧性の高いメッシュ被覆のモノが使われているんですよねぇ。
キャブ車だと、例え燃料ポンプを使ってる車種でもそんなに燃圧は高くありませんので、ここまで厳重な作りにはなってないのが普通です。
こういう部分も、FI仕様はコスト高だとなるゆえんでもあります。

ちなみに、電気コネクタ部分は燃料ポンプ電源のほか、フュエールセンダ(燃料量センサ)の配線もセットになってます。
そもそもFI仕様でガス欠になった場合、燃料ポンプが空回りしてしまうと多大な負担が加わりマズいので停止しなきゃなりませんからね。
そういう制御も、ECUで全部やってんです。
色んな状況に対応するため頭が良いんですよねぇ。



もう一つ。
安売り王スズキ、と昔から言われていますけれどスズキのFIシステムではちょっと独特なのがあります。
燃料ポンプで燃圧を作っているのではなく、インジェクター内で燃圧を作り制御して、文字通り「噴射」する役割になってる方式です。
これは、ディスチャージポンプ式と呼ばれる画期的なシステムで、FI仕様に付き物の燃料ポンプが省略できる大きなメリットがあります。
いわば従来のキャブ仕様車とほぼ同様の、燃料タンク〜の供給機構でokなんですよねぇ。
原チャリ(レッツ4から)なんかに採用されているとのことです。
コストの制限が厳しい原付きクラスには、この方式がとっても有効でしょうな。


最後に、キャブvsFIの対決。
当初、インジェクション仕様がデビューした際に「フィールが唐突で乗りにくい」なんて囁かれていました。
未だにバイク雑誌のインプレにも、「インジェクションのドン突きフィール」なんて言葉が出てきたりしてます。

しかし、これはちょっとした誤解があります。
燃料噴射の場合は、エンジン負圧に無関係で好きなだけ燃料を供給できますので、制御の詰めが甘いとそういう仕上がりになってしまいます。
キャブ仕様にて詰めが甘くて不調となるのとは、違う種類の「悪いフィール」となるんですねぇ。
もっとも加速ポンプ付きキャブの場合はFI仕様と同様に、「ドン突き感」が出るんですけど。
(加速ポンプの作動は、文字通り燃料を吸気菅内へ噴射しますので、吸気負圧には無関係です)

この「ドン突き感」を如何にもFI仕様特有の症状と言わんばかりなのは、完全な誤解です。

もちろんFI仕様で、吸気負圧制御も追加してる方式のバイクは結構ありますねぇ。
スロットル開度制御と言えば大げさですが、ようするに人間が操作するスロットルバルブとは別にもう一つスロットルを付けるんです。
そうして、吸気負圧の変化をコントロールしてあげると、ドライバービリティーの向上が見込めます。
スロットルは電子制御式だったり、ヤマハみたいに負圧サーボ式だったり色んな方式があります。

結論から言いますと、エンジンフィールの優劣ってのはありません。
むしろ、強力な加速とかが欲しい場合ではFI仕様の方が有利でしょうねぇ。


排ガス規制への対応=FI化、みたいな受け止められ方がされてます。
これはダイレクトにそういう結論になっちゃう訳では有りません。
排ガス規制クリアってのは、如何に完全燃焼をさせるかに尽きます。
つまりより緻密な燃調を取り続けて運転しなきゃならないんです。
キャブレターと言う機械制御でも、色んな工夫をすれば原理的に全く不可能ではありません。
しかし、FI仕様の場合「必要な量の燃料のみを、必要なタイミングで供給可能」と言う最大のメリットがあります。
まさしく完全燃焼の為には、こうじゃなきゃなりませんねぇ。
必要の無い時には燃料供給をカットすることすら簡単に可能ですから。
そして幅広い運転状況に応じて、それぞれ必要な燃料量を供給可能です。
もしこれを機械制御のキャブで行おうとすると、キャブレターはバルブと配管だらけになってしまうでしょうな。
燃料を止めるバルブ、空気を止めるバルブ、補正するためのバルブ・・・・・大変複雑なメカで、大変です。

つまり、制御が簡単に大きく変化させられるってのがFI仕様のメリットです。
FIの方が楽なんですねぇ。


FIのデメリットとしては、システム構成が複雑なので、コストが嵩む点です。
これは四輪の場合では初期のFIはとても高価だったのですが、主流となるにつれ量産効果でコスト低下に成功しました。
技術の進歩により、部品の共通化・モジュール共用化とかも進みましたからねぇ。
バイクの場合、まだまだFI仕様化が始まって間もないのですけど、多分同様な経路を辿ってコスト圧縮されるのではないかと思います。
もっともこれは先ほどの「排ガス規制対応」でも述べましたが、必ずしもキャブが安いとは限りません。
キャブレターでも高度かつ複雑な制御を行うモノがあり、そう言う構造のモノは大変コスト高なのです。
もっともFIシステムの場合、補機類が増える難点があるんですが。

それと、電子制御ゆえ電気で動くってのもバイクでは弱点となりやすいです。
特に小排気量車なんかだと発生エネルギーの制限がありますから、電源の安定性や容量に限りがあります。
これは不安定な電力でも誤動作しないような回路設計がかなり工夫されていますねぇ。


・・・ただしトラブル発生時には解決が難しくなると思います。
異常な動作の場合には、何処が原因なのかの切り分けからして複雑なシステムは鬼門です。
自己診断システムとかが付いてると思いますけど、それで万全とは言えませんからねぇ。
特に制御ユニットとかは部品単価が高いので、修理交換するには大いなる決断力・勇気が必要となっちゃいます。
私が考える最大のデメリットってのは、ココですねぇ。

機構的に細かく診断をしていく手法が役に立たないと、どんどんブラックボックス化して行ってしまいます。
すると、修理作業は何処かからの指示に従って部品交換するコトという定義になっちゃいますねぇ。
もっとも資料やデータがあれば、例え構造や機構を知らなくとも修理業務が行えるようになっちまいます。

これは四輪のメカニックでは顕著に見られる傾向ですけれど、バイクの業界も同じ道を辿ってしまうんでしょうねぇ。
もっとも、とっくに電気系は様々な進化を遂げてますんで、既に対応できなくなってしまってる部分があります。
点火装置の不具合ってのはとても困りますねぇ。


願わくば、新しい時代の機械は故障しないでくれる事を祈ります〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜@

●2011年08月17日(水)

今回もバイクネタですが、ちょっとカブ系からは離れます。
そもそも原付バイクってのは、バイクであってバイクにあらずな面がありますからねぇ。
手軽に扱えて乗れるクラスなのでメリットはそれなりに多いんですが。

やはりパワー・スピードがある程度あって、バイクの醍醐味を感じられるクラスとなると400cc〜でしょうな。
車格にもよりけりですが、排気量の大きさってのはやはり必要です。
ただ、排気量クラスが大きくなれば維持コストもまた掛かります。
一番の問題は、やはり2年に一度の車検でしょう。
大型クラスになると走りはとても楽しい反面、タイヤなど消耗品の寿命がそれなりに短いです。
特にハイパワーな車種になればその分、減る所も激しく磨耗しますからねぇ。


となると、不景気な今の状況では丁度良い手ごろな大きさのクラスのバイクに人気が集まっています。
やはり原付2種と、軽2輪クラスですねぇ。

250ccクラスってのが軽2輪クラスです。
一通りのジャンルのマシーンが揃ってますけれど、排気ガス規制が厳しくなってしまい本格派なスポーツバイクはすごく少なくなっています。
2ストのパワーがある車種に関しては、すでにモデル終焉の時を迎えてしまっていますから、一度は乗りたいと考えている方は今が最後のチャンスかも知れません。
4サイクル車でも、4気筒エンジン搭載モデルに関しては同様なのです。

オフロードモデルに関しても、空冷DOHCシングルの30馬力エンジンはずになりを潜めてしまってますね。
そもそも空冷単気筒で、リッター辺り120馬力を超えるスペックは大したものですけれど、やはり規制をクリアさせるのは難しそうです。


ツインに関しては、まだまだ充実しているようですねぇ。
昔はハイパワー路線から設計されたエンジンでも、それをベースにリニューアルして規制に対応させてたりします。
もちろんですが昔のパワー路線のままのフィールってワケには行かないんですけども。


私の愛車、ヤマハのTT250Rも随分と昔のモデルとなってしまっています。
実は絶版となる前に、海外仕様モデルとして結構最近まで販売されていたのです。
昔からオフロードバイクは外人らに人気があるんですよねぇ。
というか本格派なマシンは何でも人気なんですけど。

3年ほど前に、大幅に手を入れました。
エンジンのシール関連と、足回りを中心にリニューアルしましたねぇ。
それから元気に走り回っていたのですが、シート表皮がくたびれて来てしまったのです。
どうしてもシート表皮ってのは経年劣化が避けられない部分ですから仕方ないのですが。

でも良く見てみると、「CEET」というメーカー製の、社外品のシート表皮が付いてんです。
これはオフロードバイクのカスタム部品として出ているモノで、滑り止めがついているんですねぇ。
ツーリング用に使うのに具合が良さそうです。
コース走行の場合は上半身動きまくりですんで、シートは滑らかな方が良いんですよねぇ。
昔のオーナーさんが取り付けたのがそのままになっていたのです。


で、このシート皮がダメになったので、はがしてみました。
この手のパーツってのは、大抵は元のシート表皮が破れてしまっての補修を兼ねて採用するってパターンが多いんです。
でも、角がちょっと擦れてるのみでちゃんとしていたのです〜〜〜〜〜〜@
シート表皮の固定は、タッピングネジが使われていましたねぇ。
これは多分、カスタムシート皮に付属してきたモノでしょうな。

ここでもし元のシート皮もダメだった場合には、覚悟を決めて総張替えをしようと予定してました。
さすがに皮の表面積が大きいのでちょっとお値段が掛かりますけどその分目立ちますからねぇ。
色合いとか散々悩んでいたんですが、まぁブルー基調にしたちょっとお洒落なモノで良さそうなのを見つけました。
もっと色々と凝ってみたいなーなんて事もちょっと思ったのですが、車体全部とのバランスってのがありますからねぇ。
どうしてもオーソドックスな昔風デザインのオフ車ですから、コーディネートには少々難しさがあります。
もっとも生粋のオフ車ではなくなっていますので、そういう点も踏まえての仕様選びをしなくちゃいけませんねぇ。
そもそもシート表皮ってのの耐久性に関しては、実は黒いシンプルなモノが一番なんです。
赤や青の色が付いていると何故か判りませんが、寿命が短いんですな。
日焼けして硬化し、パリパリと割れてくるのです。
なので黒一色がベストではあるものの、バイクとの相性ではちょっといただけませんねぇ。
どうしてもカラフルなのにしなければならないのです。


純正そのままのシート表皮へと戻った訳ですが、表皮が二重ではなくなったので座り心地が柔らかく良くなりました。
今までのシートでは硬くて、ちょっと乗っているとお尻が痛くなったのですがそれが解消されたのです。
となると今までのシートの仕様変更の狙い所とその効果ってのは、何だったんでしょうか。
「仕様が変わっています」自体が目的のファッション改造でしかなかったってコトですねぇ。
それはそれでまぁ楽しいんですけど。

サイドカバー部分は、レース出場用にとゼッケンが貼れるようにデカールがありません。
もちろんカバーのデザインもゼッケン前提ですんで、面積が大きくなってます。
本当はこの部分に、良い具合なデカールなどを貼ろうかとずーっと考えてはいるのですが・・・・・
なかなかよさげなのが見つかりませんねぇ。
カスタムパーツのステッカーとか、色々と見てはいるのですが。
TT−Rはまんま90年代のオフロード・レーサーレプリカのデザインなので、どうしても古臭さがあります。
WRルック外装キットってのも出ていたのですが、これを装着すればもうちょっと時代が後のデザインにすることは可能です。
もっとも、タンクの取り付けとかで少々無理をしている部分がありますので、機能的にはちょっと良くないんですけどね。

社外品のビッグタンクなんかだと一見良さそうで魅力を感じてしまいますが、実は出来具合とかで難点や問題を抱えているモノも少なくありません。
例えばタンク形状により、タンク内の燃料を最後まで使えずに古い燃料が残りがちになったり、異物が沈殿すして溜まり易かったり。
大きな声では言えませんが、メーカー純正でもデザインを優先させるあまり設計上でミスってる車種もあるんです。
まず燃料タンクとしての機能がしっかりしていなければ、使いづらいバイクとなってしまいますからねえ。
燃料がなければバイクは走りませんから、キチンとしてなきゃダメなのです。

もっともTT−RにはRAIDと言う、純正でタンク容量の大きなモデルがあります。
シートとテールカウルも合わせての交換となりますけれど、ツーリング用に特化させるんならこれもアリでしょう。
今のタンク容量では少ないので、ちょっと航続距離に不安があります。
(もちろん省燃費走行を心がければ、元々4サイクル単気筒なので燃費はかなり伸びるんですけど)
またTT−Rは車体が軽量なので、ビッグタンク仕様化すると運動性に対する影響が比較的大きめですねぇ。
取り回しとかも変って来ますので、それらの都合とかも合わせて考えなければなりません。
今の所は、このバイクで遠くまで出掛けるってコトはほとんどないのですが。

●2011年08月07日(日)

ちょっと追加ネタがあります〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜@

郵政カブMD50のピストンリングなのですが、普通仕様カブとはちょっと異なります。
よーく見なければ判んない部分なのですけどね。

トップリングだけなのですが、普通のカブは単純な四角い断面形状なんだけれど、MD50の方はバルブフェース/インサイドベベル型ってのになってんです。


バルブフェース型ってのは、リング外周側が緩やかなカーブを描く曲面形状ですねぇ。
これはトップリングに採用される形状タイプなのです。
角が落としてあるんだけれど、このおかげでシリンダ壁との摩擦を抑えつつ密閉性が良く、そして馴染みが優れています。
実はこの形状ってのは、単純形状(プレーン型といいます)のピストンリングでも慣らし運転が進んで馴染むと角が取れてこのような感じへ自然となるのです。

MD50への採用目的は、慣らし運転期間の短縮だと思われますねぇ。
やはり忙しく働くマシーンとしては、直ぐにでも全開全速力で動かしたいですし。
「郵貯だから悠長な慣らし運転なんかやってられない」なんて洒落を言いたくなっちまいますv


もう一つの、インサイドベベル型ってのは内周・上側の形状タイプです。
斜めに角が大きく落としてあり、基本的に五角形になってんですな。
これはトップリングとセカンドリングに採用される形状タイプです。
この目的ってのは、リングが収縮した時微妙にお猪口のように上側へ反り返る感じになるのです。
すると上方から加わる圧力に対しての密閉性が優れるようになりますねぇ。

密閉性を高める工夫ってのは、簡単に考えればリング張力を強くする方法があります。
またはリングの厚みを増やしてあげる方法もありますねぇ。
しかし、これらの方法ではシリンダ壁との摩擦も大きくなっちゃいます。
「摩擦は少なく、密閉性は高く」なんて矛盾するような要望をかなえる為の工夫がこのインサイドベベル形状なんです。
密閉性だけではなくって、シリンダ壁に付着した油膜を掻き落とす能力にも優れてんですけどね。

これの親戚として、「L型断面」のタイプもあります。
斜めカットではなくって、完全にL字型の複雑な断面形状なんですねぇ。
これはスプリントレース仕様のレースエンジンなんかに採用される事があります。

MD50への採用目的は、オイル消費の低減でしょうねぇ。
過酷な使用状況に晒される車両ですから、耐久性を向上させるには燃焼室内へ侵入するオイルを抑制しなければなりません。
4サイクルエンジンでも、エンジンオイルは僅かな量ですが燃焼室内で一緒に燃えてなくなります。
しかしその量が多くなれば、煤となって汚れが付着・堆積して行くのです。
メンテナンスサイクルを延ばすには、やはりオイル消費抑制は重要課題です。


つまりとても高級なピストンリングなんですねぇ。
ちなみに、プレーン形状のリングよりも加工コストが余計に掛かっているはずなのですが、なぜか補修部品のお値段はそんなに違いがありません。
なんででしょうかねぇ。

ピストンリングってのは、技術ノウハウの塊みたいなモノなのです。
材質や加工、設計によってエンジンの性能や耐久性が全然違いますからねぇ。
怪しい支那製エンジンの性能がなかなか出ないのも、こういう部分からしてダメダメなのが原因だったりするのです。

ピストンリング断面形状なんてのはとても微妙なモノですので、写真での撮影はちょっと難しいです。
よーく見れば、インサイドベベルになっているのが辛うじて判別できるかな、と思いますねぇ。
そんな感じなので、流用作戦ってのはあんまりお薦めできません。
ピストン側のリング溝との収まり具合もまた、重要な設計ノウハウの一つなのです。
一応寸法的には、先回コラム記事に書いた通り 1.0:1.0:2.0mm(オイルリングは組立て式)のリング厚みなのですが。

肝心の情報を最後に書いときます。
MD50のピストンとピストンリング品番です〜〜〜@
(サークリップやピストンピンは普通の12vカブと一緒です)

ピストン [13101-141-J20] 参考価格 \2,020-
ピストンリングセット [13011-141-J21] 参考価格 \1,580-
ピストンピン [13111-GB2-000] 参考価格 \400-


ガスケットはキタコのセットとかを使う前提ですんで、サークリップは別に書かなくてもいいですねぇ。
旧カブや旧車モンキーちゃんの、純正オーバーホール/圧縮比アップ改造を考えてる方の参考になればと思います。
部品代のみで考えれば、腰上OH(ピストン交換)として7千円弱ほどで出来ますからねぇ。

もっとも、肝心要なヘッドのコンディションなんですけれど、それのメンテ内容はケースバイケースです。
古くなってくるとどうしてもこの部分がネックとなりやすいですし、修復にはお金も沢山掛かります。


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