●2010年02月16日(火)
本日は、食べ物っぽいんだけどちょっと離れて・・・入れ物の話です。 なんか聞いた話によると、ペットボトルの「フタ」、つまりキャップですが、コレを集めてリサイクルをして、 その代金でポリオワクチンを買って、世界の子供を救うってチャリティをやってんだそうです。 小学校とかでも随分とこの運動は盛り上がっている様子です。 以前は、空き缶の「プルタブ」を集めるとクルマ椅子が寄付できるってのが流行っていたのですけどね。
この「リサイクル・チャリティ」ってのは仕組みが不透明だったりするんですが、ちょっと調べてみました。 まぁ身の回りで捨ててた物に、知らなかった価値があるのならばそれを見逃す手はないですからねぇ。 まずは、プルタブです。 これの金銭的価値ってのは、金属アルミなんですねぇ。 ようするにアルミのリサイクルでございます。 買い取り価格ってのは重さで決まりますので、実際には缶を丸ごとの方がはるかに効率が良いのです。 でも、スチール缶が混入してしまうと金銭的価値が低くなってしまうんで、それでプルタブだけで集めるのが良いんだそうで。 都市伝説として、プルタブは「アルミの純度が高い」とか囁かれていたりしますけど、それはちょっと的外れでしょうな。 確かに缶の製造時に、複雑な形状にプレス加工をするので、圧延性が安定していないと不良品になってしまいますから リサイクル材料の比率ってのが少なめにしているようですけど・・・回収時に分けなければならないほどの「純度」の違いは無いんです。 ちなみに、スチール缶が混じってる場合でも、分別作業ってのは技術的には難しくないので本当は問題とはならないんですけどね。 (炉で精製する時に、比重の違いにより自然に分かれちゃうんです。でも取引・計量時の都合があるので混ざるのは困るんです) プルタブは1つ辺り、約0.5gです。 これが缶だと1つ20g位はありますから・・・本当ならば、完璧に分別してアルミ缶だけ入れれば、 缶1つでプルタブ40個分くらいで計算するとのことです。 そして、このアルミが800kg分でクルマ椅子が1つ寄付できるらしいですな。(送料別) プルタブで言うと、160万個ほど。 かさで言うと・・・・アルミの比重は2.7ですから、800kgだと2160リットル。 ドラム缶にぎっしり詰めると、10本前後分になりますv かな〜りの量です。 じゃあ、そのクルマ椅子ってのは一体幾ら位するのか。 これは介護用品店とかで調べると、ジュラルミン製の軽いモノで、このプルタブリサイクルの機種同等のが、一台、3.8〜4.5万円ってトコです。 ちなみにスチール製のだと一台1.5万円ほどなんですけどね。 もっとも、これはもっと安い機種もありますし、安売り店もまたありますから、あくまで目安なんですが。 計算すると、クルマ椅子=4万円・プルタブ800kgで、アルミ換金価格は¥50-/kgとなります。 相場は変動するんだけど、チャリティってことでちょっと手心が加わって、高めになってるのかも知れませんね。 業者によっても違うだろうけど、以前\100-/kg位で買取してたトコもあったようです。 ちなみに金属リサイクルの場合、貴金属以外で言うと換金率が高いのは「銅」でして、アルミの3倍ほどします。 やたら電線とか盗まれるのはこの為でしょうねぇ。 缶ごとではなくプルタブってのは、昔の「プルトップ缶」の場合は外したプルタブで散らかるんで、環境美化運動も兼ねて集めれば大いに意義があったのです。 が、アルミ缶リサイクル協会なんかでは、現在の外れないプルタブをわざわざ無理に外して収集するのはナンセンスだとも言ってますし、 またリサイクルするにもモノが小さすぎて扱いが困難だという事です。 ★アルミ缶リサイクル協会 のwebサイト★ ◎同じく、Q&Aのページ◎ 一説によると、まず「プルタブ回収でクルマ椅子」の伝説がどこからか囁かれ、ラジオ番組などで全国的に広まり、 厚志家の業者さんが後からリサイクルのシステムを構築したらしいのですね。 まぁ単純な話、金属アルミ回収=重量を沢山集めた方が効率が良いんです。 ・・・現金での募金でいいじゃないかと言えば、それが最もチャリティとしての効率が良いので、本当はオススメなんですけどね。 まぁ最初に書いた通り、原資が不要品ならゼロですから、子供さんとかが参加しやすいって面があります。
そん次。 いよいよ、写真のペットボトル・キャップの回収です〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜@ ペットボトルってのはPET(PETE)樹脂、つまりポリエチレンテレフタラート製の容器です。 この樹脂は、容器やフィルムシート、それと繊維なんかに使われているとのコト。 リサイクルされると、タマゴのパック容器とか、繊維材料として自動車のカーペットになるそうな。 でもあくまでPET樹脂なのは、ペットボトル「本体」のみなのです。 キャップに付いては、PP樹脂、ポリプロピレン製なんですね。 ようするに全然違う素材なのです。 PP樹脂はかなり幅広く使われているプラスチックでして・・・ その中でもリサイクルされた物は、梱包材のPPバンド、ちりとり、コンクリートの骨材などになるとのコト。 でも、実はPP樹脂ってのはとっても安いんですv さらに先ほど書いた通り幅広く使われてるんで、貴重性なんてのは全くありません。 自動車の樹脂部品の場合には、約2/3がこのPP樹脂で作られてたりするのですね。 まぁ加工が容易ですから、リサイクルしやすい材料でもあるのです。 プラスチックと呼ばれている物の中でまず思い浮かぶ、代表的なモノなんです〜〜〜〜〜〜@ で、チャリティでしたねぇ。 これはとあるNPO法人さんが推進してるんですけど・・・・詳細を見てみます。 そこに書いてあるのを見ると、金銭的価値では「キャップは400個で10円になります」だそうで。 キャップは1つ辺り、約2.5gですから、400個が1kg。つまり¥10-/kgの換金単価なんですねぇ。 でワクチンなんですが、しきりに「ポリオワクチン」を叫んでますけど、ポリオっのては小児マヒのコトです。 1人分が20円ほどと言う事で、フタ800個に相当しますよ〜と言ってるんですな。 このワクチン運動をやってるのもまた別のNPO法人です。 なんかNPO、NPOとやたら出てきますねぇ。 このNPO法人ってのは、別にボランティアに限らず、会社組織みたいだけどちょっと違う組織、となってます。 営利を目的にしてはいけないってルールがあったりするんですが、それ以外はほぼ会社組織と同じです。 ちゃんと役員に報酬(給料)を支払って活動して良いのです。(人数・割合とかは細かく決められているけど) もっとも、この制度を天下りとかの隠れ蓑に悪用してたりするので、何となく胡散臭い雰囲気は否めないんですが。 一般のPP樹脂回収相場としては、細かい仕様ルールは別にあるんですけど、30〜40円/kgってトコみたいですね。 キチンと洗浄・粉砕してあって、まとまった量(1t以上)をコンスタントに持って行く、とかの条件です。 なので、製品のフタでのお値段ってのは妥当なのです。が・・・ このチャリティの問題点として、まぁ色々と突っ込み所はあるんだけど「運送コスト」が最も大きいと思います。 集めている団体へ持って行くのに、宅配便を使うのです。 これまたチャリティってコトでして、佐川急便が特別ルールの料金で運んでくれるらしいんです。 ただし「専用の箱」を購入して、それに入れた時には1つ\420-とのこと。 そしてその「専用の箱」は20枚入り\3,150-だそうです。1箱に2400個/6kgの容量だそうな。 これを単純計算すると、恐ろしい結果になってしまいます・・・・・。 箱1つの場合。 「60円分のチャリティをするのに、578円の運送代を支払って、送る」 そして箱20個を全て使わないといけないので、そうすると・・・・ 「1200円分のチャリティをするのに、11550円の運送代を支払って、送る」 この時のフタの個数は、4万8千となります・・・・。 ちなみに集める容器も、そのNPOで販売されてたりします。5〜6千円くらいからイロイロと。
アルミの場合は、まぁそこそこ換金額ってのがあるので目立ちませんでしたけど、このチャリティに付いての意味ってのを考えてしまいますねぇ。 ちなみに、運送コストってのは集めた人(又はグループ)が負担するのです。 なぜ、60円チャリティするのに、別途578円も誰かが支払わなきゃならないんでしょうか。 その578円分そのものをチャリティの方へ回した方が良いのではないでしょうか。 もしもチャリティ=困っている人を助ける、が目的ならば必ずこのような発想が出てくると思います。 特にこの手のリサイクル収集ボランティアだと、原料は不要品なのでタダで入手が出来ますから子供さんなんかも参加しやすいメリットは確かにあります。 しかし、収集コストと原料コストは無料化できても、運送コストが残ります・・・・・。誰かが支払っているのは間違いないんですけどね。 予算という名の、みんなのお金だったりします。 それでもやっぱり、お金はお金ですから、その使い道は有意義にやった方が良いでしょう。無駄遣いはダメです。 なのでこのフタ収集は、チャリティに名を借りた一種の「情操教育」とか「イベント」として考えた方が良さげです。 もちろん、「イイ事をした良い気分に浸れる」というリターンが得られますので不毛ではないでしょうな。 しかし、教育ってのはちょっと問題アリだと思います。 理由は、目的が完全に異なってて、意義を失っちゃってるからですね。 (困っている人なんかどうでもいい。けれど人助けをしたつもりになっている、と言う結果なんです・・・) この、「困っている人なんかどうでもいい」、と言う結果が大いに問題アリなのですよ。 教育ならば、子供に「困ってる人なんかどうでもいいんだよ」なんて教えられませんよね・・・・。 もっとも、ボランティアとかチャリティなんてのはそんなモノさ、所詮自己満足にしか過ぎないよ、と言うすごく現実的で醒めた意見もあるんですけどね。 だからって、子供とかを騙してヤらせるのは問題アリでしょうな。 意義を考えると、やはり小額でもいいのでお金を「募金」というカタチでチャリティをするのが一番良いと思います。 もしくは何かのついでに、例えばCDのチャリティアルバムってのを購入するカタチとかでも良いかも。 (まぁ真偽のほどは定かじゃないイベントとかも沢山ありますけどね)
実は、チャリティは関係なしに、このリサイクルにまつわる問題ってのは色々とあるのです。 まずは、リサイクルする「意義」「目的」ですね。 昔から材料・製品によってはリサイクル率がとっても高いのがありました。 ガラス瓶容器なんかや、紙がそれです。 これはひとえに、製造コストの節約が目的ってのが共通する特徴です。 つまり、再利用すれば安上がりだから、リサイクルするんです。 しかし材料ってのは「物性」ってのがありまして、ようするに使い古して劣化したのと、新品材料とでは質が違うんです。 さらに汚れとか、添加物とかの不純物が混じってたりしますし、他の材質との組み合わせがしてあったりもします。 一度製品として世の中に出回って、それをまた集めて来た「素材」がどの程度の価値があるのかってのが難しいんです。 良くあるのが、新品素材よりもはるかに高価になってしまったりするんですねぇ。 不純物を取り除き、精製加工して・・・と技術的コスト的に乗り越えなきゃならないハードルがあるのです。 もちろん材料により、リサイクルがしやすい物もあれば、難しい物、割に合わない物、技術的に不可能な物、それぞれです。 さらに政治的な考え方・事情なんてのも合わせて検討しなければなりません。 色んなコトまでひっくるめて考えて、リサイクルした方が金銭的メリットがあると判断されて、初めてリサイクルが成立するのです。 この複雑さ、難しさがリサイクルに関して「怪しい・胡散臭い」要素が紛れ込む要因ともなってます。 つまり、本来はリサイクルによるメリットを享受する所が、そのコストを負担するのが原則なのですが・・・・ それをイメージとかで惑わせ騙して、他所に負担を押し付けて、おいしい所だけ頂こうってズルい人が必ず出てくるのですね。 先ほど書いた通り、どうしても末端ユーザーは「精神的報酬」で誤魔化されやすいですから、「良い気分に浸る」だけに多大な出費をしちゃったりするのです。 この場合、本人が承知・理解していないコトが多いですから・・・・完全に、詐欺ですな。 昨今の、「エコ商法」がモロに該当すると思います。 もちろん地球環境が破壊汚染されれば、その後処理の負担は子孫へ行くのでものすごく幅広い視点で見ればメリットは無いとは言えません。 しかし、ある程度直接的に還元されないんなら、メリットが無いのと同じになってしまいます。 さらに、他にもっと良い方法がある場合だと、完全に無駄なんですねぇ。 確かにエコエコって言ってれば、その製品や製造企業のイメージが向上しますので、供給側には金銭的メリットとなります。 でも、それを買う側に金銭的メリットは何ら生じません・・・・。 もっとも「書いてあるだけ」で品質その他に影響がないなら、損失も無いんですけどね。 (損していないから良いじゃないかってコトで、やたらとエコ商法が蔓延しているんでしょうな) しかし再生品使用ゆえの品質低下をしていると、完全に損をしてしまいます〜〜〜〜〜〜〜〜〜@ ようするにエコ商法ってのは、消費者側から見てリスクが大きいばかりでリターンは無いんです・・・・。 つまり、「環境に優しい」はモノを買う理由に当たらないってコトとなりますね。 でも買ってしまうのは、何となく良い事をした気分に浸れるから。 これは全くもって、先ほどのフタ・チャリティと同じですな。 「偽善」って言うんですが、ようするに個人の楽しみってコトに尽きるんです。 個人の楽しみってのはあくまで、その人の中に留めて置くのが良いです。 ちなみに、そういう偽善に対して私は「あーヤってるねー」としか思ってないです。 批判したり文句付けたりはしませんv 思ってても口に出さないんです。(今回はちょっと書いたけど) そういう事を面と向かって口に出すと、喧嘩になってしまいますからね。 だから、個人の思想ってのはむやみやたらと表に出すべきじゃないと思うんです。トラブルの元ですからv 記事にしたってのは、ある意味喧嘩を売っているのと同義じゃないかと思いますし、認めます。 それでも言います。 偽善を、それと知らず行なうのはヤメにしませんか?、と。 すごくミットモナイですし、周囲に対して迷惑を掛けちゃったりして、ロクでもない事になります・・・・。 もっともその愚かさを指摘されるからこそ、逆ギレして喧嘩に至るんでしょうけど。
ペットボトルのフタは、回収自治体によって「取り外すように」指示されているのは、ようするに材質が違うからです。 PET樹脂を再利用しようとすると、PP樹脂は不純物となりますし、逆もまたしかりです。 でもフタって構造的にどうなってるのかな?と思って、真っ二つに切断してみましたv 昔はこの手のフタってのはボディとパッキンが別々になっていたのですけど、これは完全に一体型になってますね。 ようするに形状の工夫で、確実な密閉性を実現しているのです。 リサイクル効率が高くなるような作りです〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜@ もっとも私も経験がありますけど・・・分別回収ってのは、ちゃんとした理由がある場合と、そうでない場合とがあります。 リサイクル自体にも、やる理由があったり、無意味だったりしますからね。 ただ、やってる側としては「こうしなさい、ああしなさい」とこと細かくルール設定したり、管理監督したりととにかく「仕事してます」的に美味しいので そのような問題の温床となりやすいんです。 ちなみに、燃焼させるのも一種の資源再利用ですよん。 もちろん、燃料としての利用が前提ですけどね。 この手の樹脂製品ってのは、高カロリー燃料として使えますから、海外への引き合いが実は多かったりします。 (もちろん各種規制とかもまた、多いんですが) あ、ダイオキシンに付いてはそこそこブームも去ったのであんまり言われなくなりましたね。 あれの真実ってのは実はとっても不透明でして、まだ研究段階の途中で良く判っていない部分が多いのです。 それでもあれだけ大騒ぎしてましたから・・・・ある意味、怖いコトです〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜@ 最後に一つ。 地球環境を偽善ではなく、本当に考えているのならば・・・・リサイクルよりも、むしろ購入段階が重要です。 つまり、使い捨て商品はなるべく使わない、買わないに尽きるんです。 少なくともリサイクルが容易な物を選ばなきゃなりません。 その辺の状況とか判断材料になるデータってのは、実は表には出てこないようになってたりします。 色んなしがらみとか都合があるんでしょぅねぇ。 まぁ、ペットボトル商品に関しては、あんまり環境によろしくないみたいですよv
■補足■ フタ収集運動に付いては、非効率で無意味だと思われるんだけど・・・でも学校等で特に熱心に行なわれているようです。 もしポリオワクチン(?)で世界の子供を助けたいのなら、フタ資金の行き先は次の所です。 ◎世界の子供にワクチンを 日本委員会◎ ここでも募金の受付をしてますので、サイトから辿ってって下さい。 (もちろんこの団体の内容を保証するものではありません。ただリンク辿って行った結果ですから、内容の吟味は各自でどうぞ) 最近はさすがにネットなどで、この手のコトがあちこちに書かれてますから関連団体はちょっとトーンダウンしている様子です。 ようするに何か収集するのは構わないけど、各自で換金して来て欲しい、募金というカタチで協力して欲しいってトコです。 くれぐれも「先生〜この方が良いよ〜」なんてご提案をすると、人間関係的にヤバくなってしまうケースも考えられますので、 そういう頭の良い指摘は、相手を良く見て、自己責任にてお願いします。 (私は随分とこれで苦労してしまいました・・・) 世の中、無駄なことでもバカだなーと思いつつ、付き合わなきゃなんないコトってのは沢山あるのですよv ちなみに自治体のルールとかは、ちゃんと守らなきゃなりません。 ルールの検討と、運用中の部分は全然話が別ですからね。
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