●2008年08月21日(木)
本日は、久し振りに売り物のFTR223を引っ張り出しました。 動態保存をしてありますが、やはりたまには動かした方が良いですからね。 で、試し乗りです。 このバイクのEgは、ルーツとしてCB90/125がベースになっており、XLR/XR200が基本となっています。 ヤマハで言うと、XT125/200ベースの旧セロー225ccと同格です。 SOHCの2バルブ・バランサー無し、というごくシンプルでオーソドックスな構成で いわゆる馬力志向ではなく、低速からの立ち上がりレスポンス重視の軽量エンジンなのです。 ホンダには、このEgの兄貴分として250ccのXLR/XR等に採用されている物がありますが、 こっちはXL250sからスタートし、途中新設計され1カム・4バルブ(RFVC:放射状配置バルブ)化してバランサー採用にて 空冷ながら30ps位までパワーが出る、馬力志向の設計ですの全く別の物なんです。 ちょっとこの辺は込み入ってて難しいんですけども。
で、話は元に戻りますが・・・ FTR223の兄弟車としてSL230(トレッキングバイク)、XL230(レトロオフローダー)があり、 近年追加されたモデルとしてCB223というオンロード・シングルスポーツもあります。 厳しくなった平成18年度排気ガス規制で、ホンダの小さいバイクは壊滅状態となってしまいましたが、 このEgは元々馬力志向ではなく、安定した燃焼状態を出しやすい為、何とキャブレターのまま この嫌がらせ規制基準をクリアしているのです。 ちなみにぶいぶいにあるFTRはH18規制前・平成10年度の規制対応の奴なので 一応AI(二次エア導入機構)とかは付いているのですが、スカチューン&スパトラのおかげで とても元気になっていますv この手のオーソドックスな2バルブEgをチューンする場合、むやみに構造上限界がある高回転化をめざさす、 むしろ美点とも言うべき中低速域のレスポンスを伸ばす方向のが良い結果が出ます。 吸排気の開放とか、圧縮比up、排気量upなんかが良いですね。 で、FTR223のスペックを見てみますと・・・・
ボアxストローク:65.5×66.2(223cc) 圧 縮 比:9.0 最 高 出 力:16ps/7,000rpm 最大トルク :1.8kg-m/5,500rpm 燃料タンク容量:7.2L ほぼスクウェアに近いロングストローク型で、ちょっと気になるのが圧縮比が少々低いですね。 パワーを出すのならば、10.0:1超は欲しい所なのですが・・・。 もっともタケガワからハイコンプピストンが出ています。(11.4:1に上がりますv) ハイカムもラインナップにありますけど、実はXR200のカムもプチハイカムとして流用が出来るのです。 プロファイル的には、FTR223<XR200<タケガワとなります。 もっとも、こんな本格的に改造をするにはコストも掛かりますし、耐久性がスポイルされますので ここは「付いている物を活かしつつ、費用対効果を鑑みて」といういつもの手法で行います。 実は、このバイクが入庫した時点ですぐにマフラーとキャブのセッティングを行って バタバタサウンドだけではなく、アクセルをひねった時の瞬発力を良くしてあります。 もちょっとレスポンスが良くなると、もっと楽しく乗れそうですね。 そして、とっても良いパーツを見つけてしまいましたv キタコから出ている、「ライトスロットルバルブスプリング」402-180600/\630-。 ※写真の商品です。但し中身は交換済みのノーマルSPですよ。 これは、負圧サーボ型のキャブ用のパーツで、純正エアクリーナー→パワフィルにした時向けとのことです。 そもそも、このスプリングレートを変更すればフィーリングが良くなると言う物ではありませんが、 負圧サーボキャブの機能上、吸気側の抵抗が大幅に変わる改造をした場合には、燃料の濃さ(ジェット類)だけのセッティング変更では なかなか調子が良くなりません。 FTRはマフラーとパワフィルへの改造が主流となっているので、それに応じたパーツって事です。 (対応車種は、FTR223,FORZA/S[MF06]) 本来の私の手法では、大抵ダイノジェットキットを採用するんですけど 現在入手が困難なのと(大手部品流通業者が手を引いているようです)、 やはり値段の点で、到底キタコのには適わないので今回は見送りました。 本音を言えば、そこまで良くしてどーすんの、もっと手軽に気軽にって気持ちもありましたけどねv
で、本日、ようやく取り付けをしましたvv スカチューンが施されているので実は時間も手間も掛からないんですが、今まで先送りにし続けてたのです。 でも折角試し乗りする機会が出来たので、この際ちゃんと済ませておこうと。 インプレッションとしては、¥630-の値段からして考えられないほど「やって良かった」です。 さすがにEgがしっかり暖まらないと息ツキしてしまいます。 (反応良く大きめにスロットルバルブが開いてしまうため) でも、中低速域のレスポンスはかなり改善されて、スタートダッシュが鋭く、アクセルでの姿勢制御もやり易くなりました。 初心者向けのフィールが、ベテランの人にでも楽しく乗れる良い感じです。 ゼロを一つ足した値段でも、これはやる価値がありましたね。 ただし。 あくまで、このパーツの性能が優秀って事ではなく、全体的なパッケージングのバランスから スロットルバルブのレスポンスを軽くした方がより良くなっただけの事です。 もし他のFTRでこのバネにしたからって言っても、良くなるとは限りません。 そもそも付けたからって外から見えないし、中を見ても判りません。 あくまで考え方としては、セッティングパーツなんですね。 例えば、メインジェットが大きいのが付いてても他人に自慢できません。 それと同じなんです。
これで実際速くなったのか?と聞かれると、正直どう答えて良いか考えてしまいます。 この「速さ」の定義次第なんです。 絶対的な速度とかパワーは、多分向上している訳ではありません。 そもそもレスポンスを改善した所でそれらは直接関係しませんので。 ただし加速力はかなり向上していますので、とても軽快に走れます。 反対語で言うと、「軽快 < > 鈍重」。 速い遅いって表現では正確に伝わらないかなと思われます。 いつかはぶいぶいメカニカでやろうと思っていたテーマなんです。 この「速さの定義」ってのはなかなか表現が難しく、ずーっと思案に暮れてました。 もっとも判りやすい「速さ」ってのは最高速度だけど、それだけではないんです。 更に、本当に何も知らない初心者ほど、この「速さ」ってのを重視する傾向があるので厄介です・・・・・・。 もっとも、シンプル思考で済ませるんなら、速さを得る=大きいバイクに乗る、で答えが出てしまうんですがv 何のためにチューンするのかの根本的なテーマなので、本来一番初めにやんないといけないんですけどね。 そのうち時間を作って、ヤリたいと思いますv
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