●2008年05月07日(水)
五月になりましたv ゴールデンウィークはイカがだったでしょうか? 私はずーっと営業中だったのですが、昼間は抜け出してバイクで遊んでおりました。 たまには供給側の立場から離れて、使う側の気分を満喫したいのです。
今回は、ちょっぴり高級なパーツとしてコレですv ビッグシーダ製:4Lモンキー用アルミタンク(¥40,950-) これは4gモンキー('74-'77までのZ50J/J1)の最大の泣き所である、 リザーブの無いガソリンコックではなく、現行のリザーブ付きコックが使用できて さらにピッグキャブ装着時にコックとの干渉を避けるため、コック取り付け位置まで変えてあると言う優れモノです。 お値段は結構しますんで、お客さんにお奨めしても中々ご決断いただけないのですが・・・ 実は、4gタンク(通称おにぎりタンク)に付きましては現在入手が非常に困難で、かつ高騰しています。 頼みの綱の中古品にしても、ヤフオク相場で1万円以下で買えることはほとんどありません。 大抵は程度が酷く、サビにより穴が開いているものばかりです。 (現在開いていなくとも、サビ取り剤で処理するとほとんど穴が開きます) 実は1つ修復中のが手元にあるのですが、ロウ付け補修しつつサビ取りしつつ・・とすでに何回か繰り返しているのです。 ごくたまに未使用新品デッドストック品が出ていたりしますが、4万円前後とかなり高いプライスが付いていたりしますね。 むしろリジッドサスの「かまぼこタンク」の方が安く簡単に入手が出来る事がある位です。 で、サビて穴開きのタンクを補修するとなると・・・・これがまた結構手間だけではなく、お金が掛かるのですよ。 (1)サビ取り剤・・・花咲G、Wako'sピカタンなど ¥5250〜¥6800- (2)銀ロウ付け・・・銀ロウ、フラックス、トーチなど ¥3000〜¥4000- (3)コーティング剤・・・Wako'sタンクライナー ¥6300- ★★★ここまで小計¥14550〜¥17100-(約¥15000-) ここから更に、塗装が必要です。 塗装に関してはプロに出す場合でも値段にはかなりの開きがありますが、 ソリッドカラー(単色)で修正ナシなら、1万円前後くらいが相場ですね。 もちろん凹み修正したり、凝った色(キャンディ/多色など)にすればするほど高くなりますが 折角やるんならって事で思い切って資金投入するのがコツです。 ケチるとロクな事はありません。 出来上がり仕上がり優先で見積もると、1.5〜2万円出す覚悟で依頼した方がよさげです。 じゃあ自家塗装で、となる訳ですがこれがまたクセモノだったりします。 塗料関連ってのは意外と高いのですよ。ここではスプレー缶で計算します。 プラサフが1本¥1000-位(このタンクの大きさだと1本で大抵ok)、 ウレタン塗料が1本¥2000-以上して、2本+クリヤ1本の計3本は必要です。 そしてペーパー(ホントはスコッチブライトが良いんだが)などで少なくとも¥1000-位必要ですから、 道具や設備の無い状態からですと、タンク1個塗装するのに¥8000〜10000-掛かってしまいます。 手間・仕上がりを考えるとプロに頼むのと変わらない、と言えますね。 費用節約のためではなく、手間自体を楽しむ方でなければ自家塗装はお奨めできかねます。 ★★★ここまでの合計は約¥30000〜 ・・・つまり、ベースとなるタンクを調達するのと合わせると、充分にこのアルミタンクを購入するのに見合うんです。 本来大きいバイクではアルミタンクってのは10万円前後する物ですから。 それとタンク=燃料供給装置ですから、信頼性の点でやはり新品にするのはとても有意義な事です。 内部にサビ異物が混入しているとエンジンの調子まで影響しますし、穴開きで燃料漏れをすると車両火災のリスクもあります。
あ、エンブレム関連も必要ですね。 純正風デカールが¥3000位、立体エンブレムが1セット¥3600〜¥4800、画像のシンプルなシールは¥420-でした。 それとガソリンコックが¥2500-位。(ホンダ純正以外は、粗悪品ばかりですからお奨めしません!) タンクキッャプは写真の物(純正)だと¥1610-です。 他にタンク固定のゴム3個が必要です。 4gおにぎりタンクのモンキーでは、機会があれば新品にしたい部分です。 ただしエンブレム・デカール類はデザインのまとまりを考慮して選ばないととても悲惨な結果となります。 初心者が犯しがちな、超激ダサ/ダメダメ仕様の王道ってのがあるんですが・・・ 「色は、ブラック1色」 「塗装のコストをケチってクリアが弱いまま」 「やたらと豪華でケバケバの立体エンブレム、しかも流用」 これに古いコックが付けば完璧(?)ですね。 なぜ↑がダメなのかって言いますと、まず黒という色。 黒色ってのは使い方が難しいのです。 バイクのデザイン配色の基本は、色の対比と大きさのバランスです。 タンクが黒色ならフレームは何色になるんでしょう? 黒色と対比させると映えるのは、例えば金色が代表的ですね。(仏壇が良い例です) 大きさのバランスに関しては、大きい物は小さく、小さい物は大きく見せるのが基本ですが おにぎりタンクは元々バイク車体に比べて小さいので、大きく見せなければなりません。 どうしても黒色にするなら、ゴールドのピンストライプを加える等の工夫が必要です。 ・・・これ、ゴリラでホンダがやってますね。 白や黄色や赤系の、明るい膨張色との組み合わせも良いですが、色数が増えれば費用に跳ね返ってきます。 そして2番目のクリアに付いて。 ベース色が黒ならば、可能な限りクリア層はぶ厚くしたいのです。 ようするに「ツヤ・テカり」があってこそブラックの高級感が出るのです。 この辺りが、判っていない連中の仕上がりがダサくなっている原因なのですよ。 ゆとりって言うのか思慮が浅いってのか、黒は黒としか認識しないのです。 クラウン・セルシオ・メルツェデスベンツの黒色と、味噌汁飲むお椀の黒色との違いです。 時々何をトチ狂ったのか、艶消しブラックにしてあるのを見かけますが・・・目眩がしますね。 「お金をケチる」のと「コストダウン」とは根本的に違います。 コストダウンするにはその根底に高度な技術ノウハウがあってこそなんです。 技術もノウハウも持たないのに安く仕上げようってのは大間違い。 例えて言うならば、日本製の量産品vs中国製安物の差といえば判りやすいでしょう。 安物で粗悪品を作ってどうするんですかねぇ。 そもそも大昔のバイクを今の時代に乗ろうってんなら、これは所謂「趣味の領域」「贅沢」なのであって お金は掛かって当たり前なのです。 ましてやタンクってのはバイクの顔。仕上がりの程度が大きく印象を変えます。 そもそも塗装をして「キレイに・美しく」するのが目的な筈なのに、浅はかな考えでこねくり回せば 結果がおかしくなってしまい、本末転倒となります。 すると、第三者が客観的に見て「いったいこの人は何をしたいんだろう??」と困惑しますし、 そのような理解不能な事柄に対して生理的嫌悪感をもよおすのは自然の成り行きです。 もし、機能さえ果たせばと割り切るのならそれでも良いですし、プロセス自体を楽しんで結果を求めない(例え失敗しても)場合もそれで良いとも思います。 まずは落ち着いて冷静に、どうしたいのかを見失わないように心掛けなければダメですよ。
エンブレムに関してはとても難しいです。 大きさとのバランスも配色コントラストもバイク全体のイメージも全部ひっくるめて考えなければなりません。 丁度良いのが見つかれば良いのですが、流用する場合は似通った大きさの物から選ばなきゃなりません。 この時、組み合わせバランスを考えず、エンブレム単品だけで見ると確実に失敗します。 これは何事にでも言えるんですが。
結局、デザインをいじる時に大敵なのは「面倒臭い」「けど高望み」という気持ちでしょう。 黒にしたがるのは、塗装がやりやすいから、コストが抑えられるから。 (本当はクリア層をかなり徹底的にやんないといけないから高いのです) で、やっつけで色を決めたのに、小物だけは豪華絢爛にして誤魔化すと。 おにぎりタンクは、個人的には明るい色でまとめるのが無難だと思います。 ぶいぶいでは大抵が白です。微妙にパールにしたりもします。 そしてデカールでちょっと色を加えて、可愛らしさを出すようにしています。 もしくは純正仕様ですね。
と言うことは、もし仮に良くある程度の4gタンクを持ち込んで、ノーマル仕様にて補修し完成させる見積もりは・・・・ もちろん現物の程度によりけりですが、工賃コストを除外して考えると少なくとも3〜4万ほど。 ここに工賃を加えるとなると、手間と必要時間を考えれば2万円位は少なくてもいただきたいです。 よって、5〜6万は必要となりますが、実質的には新品か上物の中古を探した方が良くなりますね。 もしくは、やはりアルミタンクですv ちなみにアルミタンクへの塗装ですが、アルミは塗装が載りにくいのでその辺りの技術ノウハウのある専門家にお任せしなければ 後々悲惨な事になりますよ。 もちろん無塗装のバフ掛けのまま使う場合はこまめなお手入れが必要です。 (こういう所がマニア向けたる所以です) そして、日頃の取り扱いには注意しなければなりません。 ちょっと何かがあたるとすぐに凹みますし、水分が付着すれば白くサビてきます。 アルミ製品をメンテナンスフリーに使いたい場合の標準的な仕上げといえばアルマイト加工なのですが これだと表面の輝きと質感が失われてしまいますね。 社外のあわせホイール何かだとメッキが掛けてあるものが殆どです。 (ポリッシュ加工、と言ってるのがこれです。キズ修正して研磨する事は不可能ですからご注意。 私は最近新品のにキズ付けてヤッてしまいましたv)
これだけアルミタンクを持ち上げといて何ですが、一つだけ苦言と言うか重箱の隅突付きを。 タンクの下端の部分に、ノーマルでは存在する耳がありません。 底板と上半分を溶接結合している部分の事です。 これが形状のイメージとして、なんかポッチャリした感じを与えるのです。 バイクのスタイル的に、ちょっとメリハリが薄くなる感じでしょうか。 この印象の差が人によっては気になるかも。
それと、中国タンク。 最近ヤフオクを見ててもかなり相場の値段が下がっているようでして、大容量ゴリラ化を考えている人には大いに気になるでしょう。 でも、ちょっと待って下さい。 所詮中国製品。つまり何か罠がある、新品ジャンク。 「でも使えないっとコトはないだろう」と考えるオボッチャマ&オジョウチャンには 「ちょっと前になるが、騒ぎの渦中に中国製冷凍ギョーザを貴方は平気でパクパク食べられる位の度胸がおありだったのですか?」と問いたい。 その位のズ太い神経の持ち主でなければ、激安中国製品なんて使いこなせませんよ。 つまり、「ヤフオク買いの銭失い」とはよく言ったものでありますv ちなみにタンクに関しましては、キャップが専用のでないと使えない、そのキャップの嵌り具合が悪く キーが機能しないとか、嵌らないとか、取れなくなるとかの不具合があります。 そして怖い事に・・・接合部分から燃料が漏れてくる物も。 振動で溶接部分が剥がれて走行中にガソリンを撒き散らしたという事例もあります。 材質的な問題で、サビも来やすい傾向が見られますね。(これはキ●コのビッグタンクも同様) 板圧も成型加工性優先で、ホンダ純正より薄いですから長くは使えないんです。 もちろんハズレ品ばかりではなく、中には当たりも混じっているので、そういう運試しを楽しむのと ここまでダメダメなのか〜とびっくりするのには良いですね。 基本的には値段相応の粗悪品と考えた方が間違いないです。 ちなみに、現行形状のタンクに付いてはホンダ純正部品で購入すると、意外と安いんです。 エンブレムやデカールもちゃんと付いていますよ。 燃料コックとキャップ、取り付け部分のゴムは別売りです。 価格は、デザインにより高いのもありますが(例えばメッキとか凝った色のとか)、 大体、モンキーの5gらっきょタンクが2万円前後、ゴリラの9gタンクが2.8〜3万前後です。 オートバイのタンクってのは少なくても4〜5万位するのが本当なんですが、やはり原チャリですからね。 ちなみにドカティのタンクだと16万位してたようです。国産の大きいクラスだと8万円前後が多いです。 レーサーレプリカみたいなのは5〜6万位ですね。 原付クラスで、スクーターとかダックスとかの内臓型(インナータンク)は5千円前後で買えてしまいます。 ・・・サビ取りなんてバカバカしくてやっていられませんね。 花坂G買うお金で、実は新品タンクが買えるのです。 この辺の事に関しましては、しばしば補修の依頼を持って見えるお客様がいらっしゃるのですが 私のポリシーとして、ちゃんと説明して新品購入をお奨めしています。 もちろん修理で請けた方が工賃収入=利益が大きくなりますから魅力です。 部品売りのマージンなんてたかがしれていますからね。 でも中々納得していただけないんですよ・・・。 なので、「もしこのタンクに、例えば初恋の女性の想い出とかが一杯詰まっているのならば、あえて修理しますけど」と説得します。 新品購入>修理、と勝手に思い込んで勘違いしている方の誤解を解くのは一苦労なんです。 もっとも、新品購入を決意された方でも当店で注文して行ってくれた方ってのはいまだかつて1人も居りませんv 大抵、修復は見合わないと納得していただけた方のほとんどは、「じゃあ中古品探して」ってなりますね。 今はフリマだけではなく、ヤフオクだってモバオクだってあるんですから自分で探そうと思えばかなり楽なんです。 もちろん中古品なので程度がさまざまですから、その辺の見極めが重要ですけど。 当然、そのまま使えるかどうかも判らないですし、補修が必要だったり、 出品者の勘違いで違う車種用のが来たりもする事があります。 ・・・それを代行するならば、それ相応リスクに見合う人的コストが掛かって来ます。 幾らになるのか、は明確な規定は存在しませんから都度ご相談となります。 割に合わない事はしませんし、そもそもそのような業務は通常取り扱ってございません。 つまり少なからずの費用が加算される訳でして、結果的に幾らになるのかは不明ですが大抵の場合安くはありません。 そうするとやはり新品が買えてしまいます。 もちろん、その辺りの事情はお客様はご存知ないのが当たり前なので仕方ないのですが、 少なくともこちらが誠心誠意ご説明差し上げている時には、多少なりとも耳を傾けていただいて ご理解していただく努力はお願いしたいです。 無理難題を吹っ掛けていただいても、出来ない事はやりません。 お客様は神様でありますが、神様は私たちを生かして下さるからこそありがたいのです。 人々の役に立たない貧乏神や疫病神も神様である事には変わらないのですが・・・・・勘弁してね。
と言う事で、GWも含めた7日分、長々〜と書きましたがまとめると、 必要なコストは惜しまないでネv と言う事と、やっばイイものはエエなぁ〜ってコトです。 ※このアルミタンクの魅力は、オーナーさんにはきっとお判り頂けると思います。 そして、宝物として大切にし愛情を注いで頂けたら、このタンクをチョイスした者として幸せです。
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