●2007年03月18日(日)
先日に引き続き、ロリータ(!)ミッションのお話です。
オートバイの楽しみ方は人それぞれあります。 走って楽しむ派、お金と愛情を注いでイジる派、はたまた生活の足として・・・ その中で4miniに関して冷遇(?)されがちな、自動遠心クラッチのエンジン。 しかし、これはメカニズムを楽しむ人にはとってもオススメなのです。 クラッチ部分がとってもメカニカル、いかにも機械っぽい感じでして、 内部構造を見て行くといつも「考えた人って頭イイな〜@」と感心してしまいます。 カブ系の自動クラッチには大まかに3つのタイプがありまして、遠心クラッチを作動させているウェイトが 最も古いタイプですとローラー(コロ)のもの、その次から勾玉状の振り子型となり、 新しい目の中でもフタを止めるネジが3本の物と4本になったのがあります。 クラッチプレート部分もかなり組み合わせが変わっておりますので互換性については考えない方が良さそうですね。 多分、新しくなった物の方がメカとして優秀なんだと思われます。 写真のエンジンは、最も新しいタイプです。
分解する時はそうでもないのですが、組み立ての時は結構気を使います。 写真で言うとクラッチの真中部分に3つのタマタマが乗ってる部品があるのですが・・・・ クラッチ側から順番に 「クラッチリフターのベアリング」 「クラッチリフター/2つの部品がピン1つで連結」 「オイルスルー関連」 「超短いコイルスプリング」 「タマタマの付いたプレート」 「シフトアームから伸びている小アーム」 を全て正しくセットしなくてはなりません。 もちろんバイクにエンジンが載っている時は重力のおかげで、クランクケースカバーをセットしたショックでズレてしまいやすいですし、 キチンとセットされているかどうかは組み立ててしまうと見られません。 写真のようにエンジン単体なら、クラッチを完全に上にすれば確実にセットできるんですが。 しかし。とっておきの裏ワザがあるんですよ。 バイク自体を左側を下にして横倒しにするんです。 その時は、キャブからガソリンを抜きます。当然コックはoffです。 タンクキャップは、ちょっと古いモンキーのを使いますとキャップのツマミをoffにしてしまえばタンクを逆さまにしてもガソリンは漏れて来ませんv ※カプ、ダックス共にモンキーのキャップがはまります。 バッテリーはよほど古いのでなければMFシール型なので気を使う必要はありませんね。 開放型バッテリーであれば、外しておきましょう。 で、車体にキズが付かない様フトンとか毛布とか敷いて養生をお忘れなく。 それとダックスならウインカーの保護とか、左側ミラーの処置も。(外すなり向きを変えるなりします。)
話は戻りまして、クラッチの作動としてなんと3つもの動作をするんです。 (1)エンジン回転が高くない時はクラッチが切れていて、回転が上がるとクラッチを繋ぎます。 (2)シフトペタルを正逆どちらの方向にでも少し踏んだ時、強制的にクラッチを切ります。 (3)ミッション側から駆動トルクが加わった場合にクラッチを繋ぎます。 これは、キックスタートの際にクラッチが繋がっていないとクランクを回せないから。 オマケとして、カプはエンジンブレーキも効きますし、押し掛けすら可能です。 これだけの複雑な動作を1つのユニット内で全部やってんですv なので、分解してみると中身の部品点数は結構多いですね。 実稼動時には半クラッチ領域もかなり使っていますので、オイル管理をしっかり行うと共に クラッチ板はある程度消耗したら交換した方がシャキッとした動作になります。 キッチリ作動する自動クラッチは、何か機械ががんばってる気がして感激しますね。 また、カブ系エンジンにはオイルフィルターがありませんので、クランクケース内部下のスクリーン(網)の掃除と共に、 手動/自動問わずクラッチ部分が遠心フィルターとなっていますので、クラッチ内部にこびりついたオイルのスラッジ(汚れ)をしっかり洗浄してあげて下さい。 この辺は、手間を掛けた分だけしっかり結果として帰ってきます。 特に自動エンジンクラッチはシビアですよ。 ※クランクケース左側を分解した時にしか作業は出来ません。開けた時がリフレッシュのチャンスなのです。 その他、変り種の自動クラッチのエンジンとして一時期のシャリイに搭載されていた自動変速のがあります。 これは2段ミッションを自動変速するという、もっと賢い物でしたがすぐに無くなっちゃいましたね。 クラッチ容量の点で、あんまりパワーを上げた仕様には向かないけれど、メカニズム派にはとても人気があります。 (本当はオバチャン向けだったんですがv シャリィは元々買い物バイクです。)
もちろん手動クラッチを否定する訳ではありませんが、カブ系エンジンのルーツを考察すると 決して遠心クラッチは格下ではなく、優れた機構の良いエンジンなのですよ、と言いたいのです。 ついでに。 ストロークを伸ばした仕様や、12,000rpmオーバーの超高回転仕様にチューンすると この一次クラッチのシステムではかなり辛くなって来ます。 滑りが生じたり、劣化がかなり早く進みます。 目安として3桁の速度が比較的苦労せず出る位のエンジン。 ホンダだってCD90に付いては二次クラッチを採用していますからね。 かなりお金は掛かりますが、武川などのスペシャルクラッチを考えた方が良いでしょう。 ※現在は、クランクケースの中央を分解せずに交換できるタイプが出ていますv クラッチは滑りがあっては困りますが、むしろ「切れ味」が勝負です。 良く切れる刃物のように「スパッ!」と切れないとドライバービリティも良くありません。 つまり、運転してて気持ち良くないんです。 その点乾式クラッチの切れ味は鋭いですね。半クラは使えないですが。 ヘタって来たクラッチは大抵、切れも悪くなります。 ・・・その状態で騙し騙し乗っていると、トランスミッションが逝きますよ。 (私も過去、壊してますv)
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