●2006年04月27日(木)
たまには、マジメな話題でコラムを書いてみようかと思います。
本来はメカニズム研究所ネタになるけれど、エンジンにまつわる最近の流行語(?)となってる「ポンピングロス」です。 省燃費化の時代の流れゆえでしょうか。 ・・・・そういえば、またガソリン価格が上がるそうですね。やれやれ。 で話を戻しますと、なんでコラムに持って来たかの理由は「議論のネタになるコトが多い」から。 まぁ大抵は、吸気工程に於ける「スロットル(絞りによる)損失」の事を語る場合にポンピングロスが絡んでる場合が多いのですな。 ただ困った事に、事象の一部分だけとらまえてあーだこーだと自説を主張してるケースが散見される事です。 (で、そのとばっちりが私の所にも来た訳で。 本当は議論に関わるのなら自分で考えるなり調べるなりして欲しいです。 簡単に他人に聞いて済まそうってのは良くないですよ。) ----------------------------------- まず、基本をおさらいすると「エンジンは、燃焼によって得られる熱エネルギーを運動エネルギーに変換する機関」。 で、エンジン効率を語る時に出てくる「損失」ってのは次の4つに分類されます。 その1:ポンピングロス(ポンプ損失) >ピストンを動かすのに必要な運動エネルギー。低回転時に大きい傾向アリ。 その2:冷却損失 >エンジンを冷却することによる損失。 >燃焼によって得られた熱エネルギーを放熱して冷せばその分、エネルギーの損になる。 >でも冷却しないとエンジン壊れます。 その3:排気損失 >排気ガスが持ってるエネルギー。熱と圧力を捨ててる分、損失となってます。 その4:フリクションロス(摩擦損失,機械損失) >こすれる部分の摩擦による損失。 ----------------------------------- まぁ、損失って言う位ですからこれらを減らせば効率は上がる訳です。 でも具体的にどうやって減らすかってのが難しいんですね。大勢の技術者が研究してます。 で、スロットル損失ってのは結局、1.のポンピングロスの一部分なんですな。 そしてその損失「だけ」を減らすのは簡単。基本的にこの2点です。 「スロットル自体が無ければ、スロットル損失も無い。」 「スロットル開度が大きければ、スロットル損失が小さい。」 この原則を踏まえてから、その上で具体的な解決策に向けて考える訳です。 スロットル弁によらない、エンジン出力調節の機構を開発するとか。(直噴エンジンでそういう技術が実用化に向けて研究中) または、スロットル開度がなるべく大きくなるような吸気工程にするとか。(ミラーサイクルなどの技術) ※これらの技術をもっと詳しく知りたいなら自分で調べてみて下さいね。 バルブトロニックとか、気筒休止システムとか、可変排気量とかで検索すると出てきます。 ココでは詳しい説明は割愛します。 ただ一つだけ注意しなければならないのは、この時点ではあくまでスロットル損失「だけ」と言う点で考えてる事を忘れちゃいけないです。 つまり、ポンピングロス低減策の一部分のみ着目してるってコト。 さらに、ポンピングロス低減という問題はエンジン効率向上策の一部分のみ注目してるってコト。 さらにさらに、エンジン効率向上という観点自体、燃費向上策のごく一部分だったりもします。 ・・・それが結構、ごちゃごちゃになって来て混乱し易いんですよv 酷いのになると、事象の一部分だけ見て「これで燃費問題は解決だ!」と早合点してたり。 (ちなみに普通のエンジンでスロットル開度だけ大きくして運転しても、決して燃費は良くなりません。)
***編集後記みたいなモノ*** 専門技術用語って何かカッコイイ雰囲気がありますね。 でも・・・判りにくくする為に乱用されるケースも多いです。 例えば、怪しい商品の売り込みをする時とかは凄い勢いで出てきます。 「マイナスイオン」は一時期、凄い勢いでしたからね。 もしくは、SFなんかで設定とかの補助として使われてますが、ヤリ過ぎると「ワケが判らない」「オタク向けだ」と不評を買ったりしてます。 スタートレックやマトリックスのシリーズなんかがそんな感じで、評価の良否が真っ二つに分かれたりする要因でしょう。 (ちなみに、私はどちらも大好きです) しかし、この間(エロ情報を探索してたら)医学関連のサイトに迷い込んでしまったのですが、 その時につくづく難解な専門用語に対する拒否反応ってのを体感してしまいました。 あ、探索結果はナイショですv
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